インタビュー|自分の軸で、ありのままの自分を生きる〜 上林 恵さん

自分自身が楽しめるかが基準
自分の軸で、ありのままの自分を生きる

フリーランス/上林 恵さん

恵さんは、もうすぐ4歳になる男の子のママ。会社員から転身して現在は昼スナックのママ、キャリアコーチ、コミュニティマネージャー、母親業という4足ものわらじで活躍されています。そんな自分の人生を楽しんでいるという恵さんに、人生の転機やその後の変化、この先やりたいことについても伺いました。

人の評価軸ではなく、自分の人生を歩みたい

― あなたにとっての人生の転機は?

ちょうど2年前にフリーランスになったときです。それを機に、それまでは他人や世の中からの評価を意識していた人生から、自分の軸で生きる人生へと自分自身のスタンスが変わりました。

妊娠中に転職活動をして、息子が7ヶ月のときに新しい職場で働きだしました。当時、フリーランスへの憧れみたいなのはありましたが、自分がなることは考えてもいませんでした。ところが、働きやすさを重視して選んだ会社でしたが、仕事内容が合わなくて楽しくなかったんです。副業ができる会社だったので、仕事は仕事として淡々とやって副業を楽しもうと思い、何をしようか考え出しました。

そうしたら、やりたいことがどんどん出てきて、会社に残って副業としてやることに意味があるのかな、という気持ちになり、フリーランスになる選択をしました。

それまでの人生では、有名大学や名前の知られている会社に入り、その中で評価されることが自分のステータス。そういうところでしか自分の価値を見いだせていませんでした。でも、そんな生活に疲れてしまった・・・どんなに頑張っても上には上がいて、自分にはない理想を追い求めて頑張って努力してきたけど、ふと、なにを追い求めてこんなにあくせくしているのだろう、と思ったんです。

コーチングを受けたり、社会人コミュニティで仲間と対話したりしているうちに、だんだんとステータスとしての仕事だけではなく、ライフワークとして自分が必要だと思うからやる仕事をして、自分の人生を生きていきたいなと考えるようになりました。もう会社員という形態に囚われる必要がないかな、と思えるようになったんです。

肩の力が抜け、ありのままの自分でいられるように

― その後、どんなことが変わりましたか?

以前は、仕事がON、仕事以外がOFFという感覚でしたが、今は、趣味も家族との時間も家事・育児、地域の活動もONもOFFもなく、すべてが繋がっています。昼スナックも仕事としてやってはいるけれど、ライフワークでもあるし、趣味でもある。子育ても、社会的な仕事と思って責任を持ってやっている。「ワークライフバランス」と言いますが、バランスを取るのではなく、全てを融合させていきたいと思っています。

あと、嫌なことはやらなくなりました。会社員時代は仕事で楽しいこともあったけれど、やりたくない仕事もありました。当たり前ですけど、会社員だったら、利益を出すことや、事業として必要かとかが基準になるので。だから、会社員のときは、とにかく「頑張る」という感じだったんです。頑張った先に達成感があったり、感謝されて嬉しかったり。一日一日が楽しかったかというと、大変なことも多かったです。

でも今は、何をやるかの基準が、自分がわくわくするか、楽しめるか、なんです。だから、初めは楽しいと思ってやり始めても、飽きてきたらやめちゃいます(笑)。「頑張る」というよりも、もっと自然体な感じ。働いている時間が短くなったとかいう意味ではなく、ありのままの自分でいられているんだと思います。フリーランスになって肩の力が抜けたね、と言われました。

最初から稼ぐことを考えていなかった活動も、楽しみながらコツコツと続けていると、そこにお金が付いてくるようになったり、その活動をキッカケに新たな仕事が舞い込んでくるような循環が生まれています。

子供と一緒に電動自転車のモデルの仕事をした時の写真。オンオフなく、仕事も子育ても全てが繋がっている。

対話とコミュニティを通したチャレンジの場作り

― これから、やってみたいことはありますか?

銀座に自分のスナックを持つことが長年の夢でしたが、ついに実現が決まり、11月オープンを目指して現在準備を進めています。

これまで昼スナックは、将来的に自分が店を持つことを見据えながら、間借りしてやってきました。今度は自分の店で、かつての私と同じように、ママにチャレンジしたい想いを持った様々な女性たちがママとして気軽に立てる、スナックのプラットフォームをつくりたい。私は飲食店をやりたいわけではなく、様々な人が集い、ここに来れば夢の実現に一歩近づく、そんなパワースポットのようなコミュニティを築きたいのです。

いろいろやっているように見えますが、テーマは一貫していて、対話とコミュニティです。

コーチングは対話だし、昼スナックは雑談に近い部分もありますが対話としての側面もあるし、人との出会いを通してコミュニティを生み出す場でもあります。オンラインでもコミュニティを作っています。

私自身もそうだったように、人との出会いや対話を通じて、本当にやりたいことは言語化されていくと思うんです。自分の中にぼんやりあっても、自分でも気づいていなかったりするものです。いろいろな人と話して、気づきを得ることができる。そして、頑張っている仲間の姿や応援してくれる人から刺激を受ける。そんな、チャレンジの場にしたいと思っています。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

自分の人生をもっと楽しんでほしいです。

女性って役割が多いと思います。お母さんであり、妻であり、ビジネスパーソンでもあり、一人の女性でもある。
そのどんな自分もそのまま愛し、楽しむ人が増えたらいいなと思います。

日本のママはすでに毎日ものすごく頑張っているので、たまには肩の力を抜いてラクして楽しんでもいいと思うんです。子供を預けたり、家事をやらなかったり。純粋に自分が楽しいと思うことに、もっと時間とかお金とかエネルギーを使うようになれば嬉しいです。

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
当時会社が銀座だったので、会社から近く、子育てしやすいところということで、6年前から居住。フリーランスになってからは、自宅兼仕事場に。

茅場町salvadoleでキャリアデザインでトークセッションをした時

この街の好きなところ
中央区は、洗練された都会と、昔ながらの下町、新しい開発地域など、いろいろあるのがいい。自分のような関西出身のよそ者は、昔ながらの人が多い地域は住みにくいかなと考えてしまうけれど、今住んでいる地域はそんなよそ者が集まるエリアなので住みやすい。それでいて、築地などの昔ながらの商店街・居酒屋や、銀座とか最先端の店も歩いていける距離なのが好き。
おすすめのスポット子どもと行くところとしては、豊洲ぐるり公園。遊歩道があったり、BBQエリアがあったり、カフェやレストランも作っていて、歩いていくと最後はららぽーとまでたどり着く。一人のときは、GINZA SIXの蔦屋書店で仕事をすることも多い。銀座にはよく飲みにも行く。あとは築地。食べ歩きではなく、ご近所に住む主婦として普通に晩ご飯の食材を買いに行きます。
わたしの子育て

わたしの家族
今年4歳になる息子、夫、猫2匹。
生まれたときからいろいろな人に預けたりしてきたせいか、新しいことをやるのは少しビビリだったりもするが、人に対してはとても社交的で誰とでもすぐ仲良くなれる。

子育てで大切にしていること
本人の意志を尊重すること。彼が生まれた瞬間から、息子は息子の人生を生きていて、私は私の人生を生きる。親の考えや価値観を押し付けないように、できるだけ干渉しないで信じて見守り、服とか食べ物とか、ちょっとしたことでいいので本人に選ばせるようにしている。自分で決めて自分の人生をコントロールできるようになってくれるのが、母親としての願い。
子育て生活での失敗談
特別失敗したと思うことはないけれど、お弁当いる日にお弁当を忘れている……というような抜けたことはしょっちゅう…

 

■ 経歴 ■ 上林 恵(かんばやし めぐみ)さん
京都大学卒業後、リクルートへ入社し法人営業や事業推進を経験。その後、創業間もないCtoCスタートアップにジョイン。法人サービスの立ち上げ、マーケティング、事業企画など幅広く携わり、ゼロから事業を創る楽しさを知る。

2017年第一子出産。半年間の育休期間中、子連れ留学、インターン、ママコミュニティの立ち上げ、転職を経験。フルタイム会社員と乳幼児の子育ての両立に奮闘する過程で、自分自身が本当にやりたいこと、望む生き方を考え抜いた結果、2018年独立。

現在は、昼スナックのママ・キャリアコーチ・コミュニティマネージャー・母親業という4足わらじで活動中。「仕事」「遊び」「暮らし」「学び」など全てごちゃ混ぜな、独自の心地良い生き方を探求&実践している。

―編集後記―

人生を丸ごと楽しんでいる!というのがとても伝わってくる恵さん。活き活きとされていて素敵でした。答えは自分自身の中にあり、対話を通してそこにたどり着く。今のめぐみさんの働き方自体が、目指したものではなくたどり着いた形で、今後もご自身の求めるままに、様々な形で変化していくのかなと感じました。