インタビュー|専業主婦から片付けのプロに転身。小さな一歩を踏み出す行動力で、世界は広がる~坂上 麻衣さん

専業主婦から片付けのプロに転身。
小さな一歩を踏み出す行動力で、世界は広がる

整理収納アドバイザー/坂上 麻衣(さかがみ まい)さん

麻衣さんは、5歳の女の子と1歳の男の子のママ。神奈川県在住のBright Oneメンバーです。お子さんが生まれてから専業主婦をしていましたが、いくつかのきっかけを経て、現在は整理収納アドバイザーの仕事に就いています。訪問型の整理収納サービスの他、Bright Oneでは、お部屋作り提案の新サービス「irodori(イロドリ)」に携わるなど、幅広く活動されています。人生の転機にどう向き合い、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

 

幼少期から好きだった「片付け」を仕事に。
Bright Oneの新サービスにもジョイン

― あなたにとっての人生の転機は?
 

大きな転機があったというよりは、小さな決断によって少しずつ人生が変わっていきました。

現在は、家事代行サービスの会社に所属し、整理収納アドバイザー1級の資格を活かして、整理収納の業務を請け負っています。お客様のご自宅に伺い、部分的もしくはお部屋全体の収納を見直し、最適な収納方法や収納用品をご提案。1回につき2~3時間かけて、実際に整理収納も行います。
その仕事とは別に、Bright Oneがリリースした新サービス「irodori」の中で、オンラインの片付けセミナーの企画・開催と、お片付け訪問サービスを行っています。

整理収納アドバイザーの資格を取得するきっかけになったのは、専業主婦だった時の、母からの何気ない一言でした。「今のうちに、将来仕事につながるようなことを勉強したり、資格を取得したりするといいよ」と言われたんです。普段と変わらない会話の中でしたが、その言葉が頭の中に残って。今の時期に、何か始めてみようと思い立ちました。
子どもの頃から、引き出しの中を一気に整理し始めたり、部屋の模様替えを頻繁にしたりと、整理整頓や片付けが好きでした。大学でもインテリア関連の学科に進学し、卒業後は家具メーカーで7年ほど働いていたんです。そんな自分に合う資格を探す中で、整理収納アドバイザーの存在を初めて知りました。最初は、世の中で需要のある資格なのか半信半疑(笑)。でも友人から片付けサービスを利用したと聞き、そういう仕事がしたいと思い、少しずつ勉強を始めました。それが、上の子が2歳半だった2019年のことです。

まず、講座を受講して整理収納アドバイザーの2級を取得。1級を取るためには、1次の筆記試験を通過した後、2次試験の研究発表でも合格する必要があります。友人の自宅を借りて片付けをさせてもらい、その結果をレポートとしてまとめて、試験で発表するプレゼン資料の作成を進めていきました。プレゼンと聞くと少しハードルが高いようにも思えるんですが、整理収納アドバイザーの勉強はとても楽しくて。常に前向きに取り組むことができましたね。

2021年の年末に無事、整理収納アドバイザー1級を取得。とはいえ、当初はすぐ働くつもりはありませんでした。子どもたちがもう少し成長して時間ができたら働けるようになるかな、なんて思っていて。でもテレビを見ているときにふと「働きたい」という気持ちが湧いてきたんです。何かきっかけがあったわけではなく、本当に突然(笑)。
思い立ったらすぐ行動にうつすタイプなので、資格を活かせるような求人案件を探し始めると、現在就いている家事代行サービスの仕事が見つかりました。下の子はまだ1歳ほどで保育園なども通っていなかったのですが、幸い一時保育に預けられる見込みもつき、2022年の4月から働き始めました。

お客様宅の整理収納をする麻衣さん

「自宅を他人に見せるのは恥ずかしい」
そんなお客様の気持ちにも寄り添う

― その後、どんなことが変わりましたか?

整理収納の仕事をし始めて、とても充実しています。

家事代行サービス会社での仕事は、最初のうちは分からないことだらけで緊張しました。でも、一緒にお客様宅へ伺う先輩スタッフが、お客様のご要望をヒアリングしたり片付けの順序を組み立てたりする姿は本当に勉強になります。

思いきり片付けをできるのも楽しいですね。自宅だと場所も限られていますし、すべての収納を一気に見直すというのは、なかなか難しいんです。お客様からご要望があった箇所の物を取り出して、必要なものと不要なものに分類し、綺麗に整えていく。この作業がとても気持ちいいです。

整理収納を依頼するのに「勇気が必要だった」というお客様も大勢います。他人にはあまり見せたくない、自宅というプライベートな場所の片付けを頼むのだから当然ですよね。中には整理整頓ができないとご自身を恥じる方も。そういった方々の気持ちを受け止めることが、この仕事において大切だと知ることができました。お客様の気持ちに寄り添い、共感しながらご提案することを心がけています。

整理収納が終わると皆さん本当に喜んでくださって、その姿を見ることができるのは大きなやりがいになっています。最初は1回限りのご依頼だったのが、「やはりもう1回来てください」とリピーターになってくださるケースも多いんです。とてもうれしいですね。

 

そんなとき、友人を介してBright Oneがスタートした、お部屋づくりを提案するサービスのirodoriのメンバーにお声がけいただき、整理収納セミナーを企画から担当することになりました。

セミナーの開催経験がなかったため他のメンバーと共に試行錯誤しながら内容を考え、キッチンをテーマにしたオンラインセミナーを行いました。参加者の方の悩みも引き出しながら整理収納のコツや実例をお伝えしたり、セミナー後の宿題としてビフォーアフターの写真提出をお願いしたり、こちらの一方通行にならないよう工夫をしたつもりです。ただ大人数に向けてお話をする難しさも感じました。やはり一人ひとり悩みは違うものなので、個人にアプローチできる講座があってもいいんじゃないかと思いましたね。今後もセミナーは開催していくつもりなので、改善しながら良い内容を作りあげていきたいです。

 

仕事を始めて、家族との向き合い方も変わりました。

下の子を一時保育に預け始めた頃は、毎回泣いていて……。正直可哀想だなと胸が痛んだんです。でも1週間もするとケロっとして、すんなり行ってくれるようになりました。もちろん楽しく通っているように見えて、心の中では寂しい思いをしているかもしれません。でも離れている時間がある分、一緒にいる時間の大切さを身に染みて感じるようになりました。保育園に行って同年代の子とのコミュニケーションが生まれるからか、グンと成長した気がします。子どもにとっても良い経験になっているんじゃないかな。

生活にもメリハリがつきました。上の子のときは、幼稚園に入園するまでずっと一緒にいたので、予定がないとダラダラと過ごして一日を終わらせてしまうことも多かったんですが、今は生活リズムの整った毎日を送っています。仕事をして自分だけの時間を作ったことで、私の気持ちにも余裕が生まれました。

 

インテリアの提案にも挑戦し、お客様に喜んでいただけるお部屋作りを

― これから、やってみたいことはありますか?

今はどんどん整理収納の経験を積んで、技術を磨いていきたいです。経験を積むことで、セミナーでお客様にお伝えできる内容のバリエーションも増えていきますし、ご提案の幅も広がっていきます。訪問サービスとセミナー、それぞれで蓄積した知識やスキルを活かし合いながら、自分も成長していくことが目標です。

具体的に挑戦したいことは、オンラインでの個別相談。やはり訪問に対してハードルを感じている方が多いんです。もちろんオンラインでも、ご自宅内を部分的に見せてもらうことはあると思いますが、実際に見られるよりは気持ち的に楽な部分もあるのではと思います。
また、私たちが整理収納をしても、その後キープできないお客様もいらっしゃいます。オンラインの個別相談であれば、そんなときどうすればいいかのご相談にのったりと、一人ひとりに応じた悩みにもお応えできますしね。

ゆくゆくはインテリアコーディネーターの資格も取得したいです。まだそんな余裕はありませんが、もともと家具が好きだったので、インテリアのご提案にも興味があります。irodoriの片付けセミナーや今後行っていく片付けサービスに付随して、インテリアのご相談にものることができたら、よりお客様に喜んでいただけるサービスになると思います。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

私自身、整理収納アドバイザーの勉強を始めてからこれまで、大きな決断をしたという自覚はあまりありません。ただ思い立ったら先のことは深く考えずに行動にうつしていたら、結果的に良い方向にことが運び、今楽しく働くことができています。

もともと私が計画的に動く性格ではないということもありますが、「やってみたい」と思うようなことがあれば、まずは挑戦してみることをお勧めします。小さくても一歩ずつ進んでいけば、巡り合わせのように世界が広がっていくはず。事実、何気なく探し始めた仕事探しで整理収納の仕事に出合えましたし、Bright Oneでのセミナーのお話もいただくことができました。もし行動してみて上手くいかなければそのときはそのとき。また解決策を考えればいいんですよね。

これを読んだママさんたちも、あまり気負わずに、新しい場所へ踏み出してほしいなと思います。

わたしの子育て
わたしの家族

夫、5歳半の娘、1歳半の息子の4人家族です。(※2022年9月現在)
やんちゃな息子に泣かされることもある娘ですが、基本的に子どもたちの仲はいいですね。

家族写真でのひとコマ

子育てで大切にしていること
愛情表現をすることです。やはり子育てをしていると感情的に叱ってしまうこともあります。ただ言ってしまったことは取り消せないので、強く言い過ぎてしまったら謝りますし、常日頃から言葉でも態度でも愛情を伝えるようにしています。
子育て生活での失敗談
失敗の連続です。この間も、テーブルに触られると困るものを置いていたら、息子が取ってしまい、怒ってしまったんです。すると娘に「手の届く場所に置いておくママが悪いんでしょ」と言われて(笑)。確かにその通りですよね。こんな風に子どもに気付かされることも増えてきました。もちろん失敗し反省して次に活かすのが大切ですが、くよくよし過ぎるのも良くないですよね。「どうにかなるか」という気持ちで子どもたちと接しています。

 

■ 経歴 ■ 坂上 麻衣(さかがみ まい)さん
大学ではインテリア関連の学科を専攻。卒業後、大手家具メーカーに就職し、7年ほど営業職に従事した。結婚・出産を経て、整理収納アドバイザー1級の資格を2021年に取得。現在は、訪問型整理収納サービスでの片付けコンシェルジュや整理収納セミナーの講師を務める。

 

―編集後記―

穏やかで優しい雰囲気をまとう麻衣さん。整理収納の仕事をする楽しさと共にバイタリティを感じるインタビューとなりました。整理収納アドバイザー1級の勉強について問うと、「そんな大変ではありませんでしたよ」と笑顔で話されていましたが、同資格取得を目指したことのある筆者からすると、プレゼンテーションを突破するのは相当難関だったはず……。ひたむきに努力を続けてきた結果が、麻衣さんのご活躍につながっているのだと実感しました。

 

2022年9月取材