インタビュー|「ママになっても、自分にフォーカスする時間を忘れない」育休を機に新たな一歩を踏み出した。~岸野 真利英さん


「ママになっても、自分にフォーカスする時間を忘れない」
育休を機に新たな一歩を踏み出した

会社員/岸野 真利英(きしの まりえ)さん

真利英さんは、5歳の男の子と1歳の女の子のママ。江東区在住で、IT企業に勤める女性です。その傍ら、ライタースクールで執筆の勉強をしています。育休中に決断したというライターへの道を、まさに進んでいる最中だという彼女。人生の転機にどう向き合い、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

育休中に見出した、新たな可能性へのチャレンジ

― あなたにとっての人生の転機は?

ライターの勉強を始めた今、まさに転機を迎えていると思います。

現在、2人目の子どもの育休を終え、IT企業の営業職として働きながら、ライターの勉強をしています。オンラインのライタースクールで講座を受講し始めたのは育休が終わる1カ月ほど前、今年の3月です。きっかけは些細なことで、将来的に自分の名前で仕事をしたいと思い、新しいチャレンジをしようと考えた時、一番長く続けられると思えたのがライターだったんです。

育休中からずっと、新たに勉強を始めたいと思っていました。できれば在宅で働けるスキルを身につけたいと考える中でライターが選択肢に挙がりました。昔から仲のいい友人がライターを副業にして、いきいきと働いている姿を見ていたことも、背中を押した要因です。
正直、本をたくさん読んだり、書くことが好きだったりするタイプではないので、少々不安はありましたが、やると決めたら突き進むタイプ。気持ちは固まっていました。

ライティングを学ぶ際、独学かスクールに入学するか迷いましたが、正しい努力の仕方を知るためにはプロに教わった方がいいと思い、スクールを探し始めました。もちろんお金はかかりますが、知識を無駄なくインプットできる環境を享受するための初期投資は、最低限必要だと思いました。
スクール選びで軸としていたのは、信頼性と、卒業後の姿をイメージできるか。私が選んだスクールはYouTubeチャンネルを持っていたため、講師陣の雰囲気が分かりましたし、卒業生のインタビューからスクールで得られる満足感や将来像もイメージしやすかった。そして3月から勉強をスタートしたんです。

自宅にて、ライタースクールの課題に取り組む真利英さん

 

仕事と家事・育児と両立しながら、学ぶ楽しさを実感

― その後、どんなことが変わりましたか?

子どもたちが寝静まった夜10時から12時までの間に、スクールのカリキュラムや課題に取り組むようになりました。4月から仕事に復帰し、昼間は時間が取れないため、夜の時間が一番集中できるんです。
スクールの講師サポートがたっぷり1年間あるので、焦るようなスケジュール感ではありませんし、今は無理のないように進めています。疲れていると感じたらその気持ちに抗わずに、ゆっくり過ごすようにする。自分の体と対話しながら、長く続けられるよう努めています。ただ今は、学ぶことがとても楽しくて、全く苦にはなっていないですね。

スクールではライティングの技術や知識はもちろん、それ以外についてもさまざまなことを教えてくれます。たとえば独立後の心得。今はまだ、フリーランスライターとして働く姿を具体的に思い描いているわけではありませんが、独立を視野に入れた時、会社に属さない=何でも自分一人で行うということを理解しておく必要があります。仕事を獲得する時や、何かに迷った時。会社員であれば職場の誰かに頼れるようなことも、フリーランスではそうはいきません。うまくいかない場合もあるでしょう。そんな時、どのように気持ちを保てばいいか、メンタル面のサポートもしてくれるんです。実際のワークスタイルを想定してアドバイスをしてもらえるのは、ありがたいですね。

ライティング技術についても、日々新たな発見でいっぱいです。私の書き方の癖やパターンなど、第三者の視点から細かく指示してもらっているのですが、正直独学では気付けないような指摘もあり、とても勉強になります。一つひとつのフィードバックを素直に受け取ることで、着実に成長しているという実感を得られます。
スクールでは基礎を学んだ後、第二段階としてクラウドソーシングサービスなどでライティングの実績を作り、その後の最終段階で企業案件を獲得するステップまでフォローしてくれます。実際にライターとしての対価をいただけるフェーズまでサポートしてもらえる安心感はとても大きいです。

ライタースクールへの入学は、ほぼ一人で決断しました。夫にも、決めた後に報告しましたね。スクール代は自分で払いますし、最後に責任を取るのも自分自身ですから。自分の判断を信じて、歩んでいこうと思いました。

 

いつか、地域活性化に貢献できる存在に

― これから、やってみたいことはありますか?

地元の北海道をはじめ、地域活性化に貢献できるようになりたいです。

高校を卒業するまで北海道で過ごしたからか、幼い頃は地元の良さというものがあまり分かっていませんでした。でも大人になって、素晴らしい場所だと実感するようになりました。特に子どもが2人できたことで、北海道の自然環境に魅力を感じるようになったんです。今回の育休中も時間があったので、3回ほど帰省しました。自然が豊かで、広い土地があって、子どもたちを存分に遊ばせることができる。また、友人が地元で素敵なパン屋さん「jojoni」を営んでいるんですが、他にも素晴らしいお店や北海道らしい雰囲気の店がたくさんあります。

以前から、「北海道の地域活性化に貢献できる何かをしたい」と漠然とした気持ちを持っていました。でもライターの選択肢なども全くなかった当時は、具体的な行動に結びつけることができずにいました。東京のアンテナショップで働くことや移住者をサポートする仕事も考えたのですが、職場を変えることはなかなかハードルが高く、踏み出せませんでした。

ライターの勉強を始めたことで、ようやく具体的に貢献できる方法が見つかったような気がしています。
よく飛行機にある地域情報誌に、地元の魅力が掲載されていますよね。あのような形で、地元の素敵なお店や移住者にインタビューして、魅力を伝えられるのではないかと考えています。

ライターとして、まずは東京にいながら北海道の力になりたいと思っています。実現したい未来像があるため、ライターとしての課題やスキル習得は苦ではありません。簡単ではないと思いますが、これから経験を積みながら、北海道をはじめとする地域の地方創生に関わるような仕事をしていきたいと思っています。

 

つい自分にフォーカスすることを忘れてしまうから

― ママたちへのメッセージをお願いします。

世の中のお母さんたちが、新しいチャレンジに踏み出せない理由の一つとして、日常の子育てや 家事に追われ自分を後回しにしてしまうことがあると思います。無意識に自分自身にフォーカスすることを忘れてしまい、自分の時間を後回しにしてしまうんですよね。仕事、子育て、家事とやることが多いので当然のことだと思います。

だからこそ、意識をして少しでいいから自分について考える時間を作るべきだと思います。家事を終えた後、10分の時間ができた時に、自分に意識を向けられた らいいですよね。自分の将来とか人生とか、そんな大げさなことを考える必要はなくて、何をし ている時が心地いいのか、気分が上がるのか。そんな風に考える時間があればいいと思うんです。

私も、ライターの勉強を始めるにあたり、簡単には踏み出せませんでした。ライタースクールに入る決断ができたのも、一年半の育休の間にたどり着いた結論です。焦らずゆっくりでいいので気持ちがワクワクすることを見つけていけば新しいチャレンジに繋がると思います。

大人になると、どうしても条件やメリットから考えがちです。特に、「これを始めたらデメリットがある」と、ネガティブな面を先に思い浮かべてしまうことも増えます。失敗を避けるために必要な考え方でもありますが、それでは一歩を踏み出せません。デメリットを考えるより先に、自分が楽しいと思える道について、まずはじっくり考えてみることが重要だと思います。私も迷った時、楽しそうな方を選ぶようにして、今があります。

子どもがいると、「自分の時間がない」と思いがちです。確かに2時間3時間という、まとまった時間を自分の時間として捉えると、その時間を確保することは難しいですよね。でも、10分20分でも自分の時間は自分の時間。何か考えたり、本を読んだり、それくらいはできるはず。ちょっとした隙間時間も自分に使い、そこからポジティブに考えることができれば、選択肢が広がり、良い方向に進むことができるはず。そして物事もうまく進んでいくと思います。私自身も、そういう思考を大切にしていきたいですね。

 

わたしと街のつながり
江東区とのかかわりは?

7年ほど前から清澄白河に住んでいます。家探しをしていた当時、駅を降りた時の空気感がとても良くて、直感で「ここに住みたい」と思った記憶があります。

近所の木場公園にて

この街の好きなところ
水辺があって緑豊かな一方、ビルが立ち並ぶ都心らしい景色も見られるところですね。また街の人々が親しみやすいのも好きです。スーパーなどで気軽に話しかけてくれるお年寄りの方がいるなど、下町の雰囲気が残ってるのも、江東区の良さの一つだと思います。
おすすめのスポット
清澄庭園のすぐ裏にある「Cafe 清澄」は、一人の時間ができた時に足を運ぶ特別な場所です。窓から清澄公園の木々が見えて、心地良く過ごせる空間なんです。そこでケーキとコーヒーを楽しみながら、置いてある雑誌などを読むのが息抜きになっています。店員さんの距離感がとても心地のいいお店です。
 
わたしの子育て
わたしの家族

夫と5歳の息子、1歳の娘との4人暮らしです。(※2023年5月現在)

木場のイトーヨーカドー内ガーデンで遊ぶ子どもたち

子育てで大切にしていること
型にはめない、誰かと比べないということは大切にしています。「これが正解」という子育てや子ども像に当てはめる必要はないですよね。子どもが失敗しないように親が先回りして考えてやってあげても、結局子どものためにはならないかなぁと思います。できるだけ子ども自身が考えて行動できるよう、見守っていけたらいいですね。
子育て生活での失敗談
私、失敗を失敗と捉えないタイプかもしれません。失敗することも子育ての一部。確かに、その一瞬だけ切り取れば失敗かもしれないけど、そこから学びも気付きもあるはずですよね。それに大人だってコップを倒したり、物忘れしたりするもの。そうした姿を格好つけずに子どもに見せ、「失敗してもいいんだ」と感じてもらう方が気楽に子育てができると思っています。

 

■ 経歴 ■ 岸野 真利英(きしの まりえ)さん
北海道出身。江東区在住。大手カフェチェーン店で勤務し、結婚を機に退職。その後IT企業に転職し、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い製品のセールスを担当する。現在は仕事、家事・育児と並行して、オンラインのライタースクールで学び、ライティングスキルの習得に励む。2児の母。

 

―編集後記―

「決めたらどんどん突き進むタイプなんです」と力強く話されていた真利英さん。今回のように大きな決断をする際も、誰かに相談することはほぼなく、自分一人で決めてしまうとのこと。意志の強さが、言葉の要所要所に表れていました。大人になると、チャレンジに対してつい尻込みしてしまいますが、人生一度きり。思い切って一歩を踏み出せる自分でいたいですね。

 

2023年5月取材