インタビュー|出産で変わってしまった世界。自分の足とひらめきで新たな道を進む 〜 川越 こず恵 さん

出産で変わってしまった世界。
自分の足とひらめきで新たな道を進む

フリーアナウンサー、スマイルボイスラボ・スマイルキッズラボ代表/ 川越こず恵さん 

こず恵さんは中学2年生の女の子と小学5年生の男の子のママ。地方局のアナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとして活躍しつつ、友人とともに数千名規模のママコミュニティを運営、また女性や親子向けの各種講座・教室の代表を務めるなど、パワフルに活動しています。そんな彼女の人生の転機はどのように訪れ、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

ママとなったフリーアナに突きつけられた
世の中の厳しさ

― あなたにとっての人生の転機は?

第一子の出産です。
新卒で地方のテレビ局にアナウンサーとして入社し、その後フリーアナウンサーに転身。レギュラーの仕事をもらい、やりがいのある日々を過ごしていました。

その後30歳で出産すると、人生が180度変わりました。
フリーアナウンサーは番組ごとに個人として契約しているので、仕事を休んだり代理を立てたりすることは不可能。何があっても出演しなくてはいけません。今はそこまでではないかもしれませんが、当時は「生きていれば行かなくてはいけない」くらいの感覚。業界では「子どもがいるフリーアナを使うのは、番組に穴が空くリスクがあるので、怖い」という認識が当たり前だったと思います。私も夫も実家に頼ることができなかったので、育児と当時の仕事の両立は絶望的だった。オーディションを受けまくり、努力を重ねて全国区のお仕事を頂き必死に頑張ってきたけれど、もうこれ以上このキャリアを発展させることはできないと思いました。ママになっただけで「ゼロ」どころか「マイナス」になってしまって、本当に悔しかったです。専業主婦として家を守る道もありますが、外で働きたい自分にはその選択もできず、私に何ができるだろうと考えてとにかく職を探しました。

ある日、未経験でもできる仕事はないかと事務職の派遣説明会で相談したところ、担当者に何とも厳しい言葉をかけられました。「若くもないのに、かつアナウンサーあがりに、仕事なんてあるわけない。あるとしたら倉庫整理くらいだよ」と。
どうやらこの担当者の中では、アナウンサーには「プライドが高くて扱いにくい」という印象があるようでした。また私は大学卒業後すぐ地方局でアナウンサーをしていたので、事務の経験がありません。ああそうなんだ、という思いとともに、世の中の厳しさにため息が出ました。
そこで改めて、どんな仕事がいいのか再考することにしました。考え抜いた結論は「私が持っているスキルを活かせて、“子育て”に関わりそれを助ける仕事」。
私にとって、子育ては過酷なものでした。夫婦とも親は近くにおらず、夫は夜中の2時3時まで働いていたため、ワンオペ育児をしていました。子どもの夜泣きがひどく、7年間朝まで続けて眠れたことがありませんでした。今でこそ変わりましたが、仕事で疲れた夫は休日寝てばかりで家事育児を手伝ってくれません。自分のことに構えないばかりか、朝から晩までゆっくり座ることもできない。ついに円形脱毛症に……。
ママだけキャリアも人生も犠牲になるなんて、おかしい。この問題を、自分の持っているスキルを使ってどうにかしたい、という想いが湧き上がってきたんです。


仕事や機会は自分で作ればいい。
女性応援を次のミッションに

― その後、どんなことが変わりましたか?

私は機会を“待つ”タイプではないので、仕事がないならとにかく自分で作るしかないと思い、まずベビーマッサージを学び、講師になりました。区民館を借り、生徒さんからは実費だけをもらってスタート。さらに友人とママ支援のコミュニティを作り大きくしました 。そこでの親子撮影会は盛況で、10年以上続いているママ向けのパーソナルトレーニングもあります。

子連れでも安心して過ごせる、子どもと一緒に楽しめる。また何よりママが自分の気持ちを話して、他のママの話を聞く場があることって本当に重要だと思います。悩みがあっても、共感を得ることでスッキリする場合もありますよね。私自身にとっても、大変な人は自分以外にもいるんだなと思えたことがよかったです。そのうちご縁でアナウンサーの仕事も 頂けるようになってきました。私の問題意識はだんだんと「女性を応援するんだ」という使命感に変わりました。

「声と表情で印象アップ」を目指すスマイルボイスラボの認定講師養成講座の様子。 全国に認定講師さんが誕生しています!

コミュニティではたくさんのママに出会いましたが、私のように、子育てによるキャリアの分断により自信をなくしている方も多かったです。また、素晴らしい個性を持っていても自分で気づいていなかったり、印象で損している方も多いと感じました。同じテーマ・同じ条件でいろんな方に講師をお願いしてると、受講生のリピートが多い講師もいれば、クレームが来てしまう講師もいます。見ていると、運営中の生徒への声かけやお出迎えの声が、講師によって全然違うことに気づきました。印象の良さは特に女性には必須で、差別化ポイントになります。 これならアナウンサー経験のある自分が教えることができる!と思い、4年前から「話し方・印象力UPレッスン」を開講しました。声や表情が変わると 相手に与える印象が良くなります。すると対人関係や仕事にも良い影響がでることが多く、自信が持てるようになり、まるで変身したかのようになりますよ。

私が役にたてて、私も楽しいことをしていく

― これから、やってみたいことはありますか?

生涯現役で仕事を続けていきたいです。私は人生を逆算してプランニングしているのですが、50歳までにスクール業などを営む会社を安定させ、スタッフがきちんと自分で動いてくれる状態を作ります。意地でも叶えますよ!

過去の転職や子育て、そして現在コロナ禍での経営も本当に大変ですが、前を向いてやれているのは、厳しかった新卒の就活経験があったからかもしれません。合格率1%以下と言われるアナウンサー採用の狭き門をライバルたちが諦めていくのを横目に、「諦めなければ受かる!」という謎の自信で突破しました。やり続けることに意味があると信じ、コミュニティ運営は12年やってこられました。ママ同士でしか話せないことってありますよね。話せる、聞いてもらえる、リフレッシュできる場所をこれからも自分や子育て中のママのために作っていきたい。これからは親戚のおばちゃんみたいに、地域の子どもやママたちを見守っていきたいです。

また「私がお役に立てることで貢献する」という気持ちと「やりたい!」というひらめきも私を突き動かしてくれています。私とのご縁で集まった人たちの役に立ち、かつ自分も楽しいことをやっていきたい。子育ての経験から自分だけでは生きられないということを痛感したからこそ、人と人とのつながりを大切にしています。誰か1人でも「こず恵さんのところで活動できてよかった」と言ってくれたら本当に嬉しいです。やりたいことがどんどん溢れてきて、忙しいですよ。

レギュラーで担当させていただいている子育てママ向け番組、中央FM「ママスタ」。 毎回様々なママさんにゲストとしてご登場いただいています。先日は、中央区小伝馬町でCAFÉ LIFEを営む半澤円さんにご出演いただきました。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

ママでも自分の好きなことをやっていく時代だと思います。「今の私」だから言いたいのは、ママだからという理由でやりたいことを諦めないでほしい。できない理由を作らないで、いくつになっても挑戦してほしいです。一度きりの人生だから、前向きにチャレンジしていきましょう!

スマイルキッズラボの一コマ

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
住まいも仕事も中央区です。
築地で運営している子育て支援のためのお稽古教室「子育て応援キッズカルチャースマイルキッズラボ」も活動の1つです。子どもだけでなくママも笑顔にするお稽古をたくさん用意しており、興味があるものを選ぶことができます。「ココロとカラダ、個性も自己肯定感も、はみ出した才能をも育てる」ことで、ママと子どもの笑顔に貢献することを目指しています。もう私の子どもたちは大きくなりましたが、小さい頃してあげたかったことをしてあげたい。また、子育て中の自分がしてほしかったことを、そして今現在、思春期の子育てをしながらしてあればいいな……と思う場の提供を目の前のママ達にしてあげたい。そんな想いでやっています。

この街の好きなところ
自然があるところが好き。
(2020年の)緊急事態宣言で休校になったときは、子どもと自転車で大きな公園に夕方毎日行き、深呼吸をしていました!
おすすめのスポット
茅場町のさくら並木(さくら通り)や隅田川テラス、豊海埠頭。また中央FMで番組をやっているので、東京スクエアガーデンが大好きです。気軽に非日常を体験するなら、豊海埠頭。海を眺めていると、のんびりと現実逃避ができます図書館。私が娘とよく行くのは日本橋図書館。きれいで居心地がいい!人形町の甘酒横丁にある森乃園のほうじ茶ソフトクリームはすごく美味しくておすすめです。
わたしの子育て

わたしの家族
長女(2007年10月生まれ)、長男(2010年10月生まれ)、夫、私、カエル(小さいヒキガエル3匹。笑)、魚。

子育てで大切にしていること
決して育てやすくはない、個性的な子どもたち。
中2の長女は絶賛反抗期でさらなる育てにくさが加わっていますが、早く終わることを信じて奮闘しています。小5の息子も反抗期に入りつつあり、天邪鬼さが増しました!どちらからというとユニークな二人ですが、個性を大事にしていきたいです。家事・育児は完全なるワンオペで本当に大変でしたが、それでも笑顔だけは忘れたくないと思っていました。家ではかなり怒ることも多いですが、その分笑いも取り入れています。
子育て生活での失敗談
長女の産後に1人で全部抱えて頑張ってしまい、夫と育児の大変さを共有できなかったこと。
最初が肝心だと今さらながら思います。
■ 経歴 ■ 川越こず恵(かわごえ こずえ) さん
地方局のアナウンサーを経てフリーアナウンサーに。様々なメディアでキャスター、リポーター、パーソナリティー等を担当。アナウンサー業の傍ら出産を期に、ママとべビーの笑顔をつくるため講師業を始める。同時に友人とママコニュニティHimemamaの運営を開始。約12年で延べ1万人以上のイベント動員実績を持つ。また「特技を活かし、女性応援活動になることをしたい」という信念でスクール「SmileVoiceラボ」を立ち上げ「話し方・印象力アップレッスン」を開催。2021年4月からは、中央区築地にて子育て支援のためのお稽古教室「子育て応援キッズカルチャースマイルキッズラボ」の運営もスタート。代表を務める。

 

―編集後記―

「人から、元気をもらえると言われることが多い」と笑顔でおっしゃるこず恵さん。人生楽あれば苦あり。ご自身が決して笑顔になれない日もあったのでしょうが、どんなときもひらめきをお供に自分の足で突破してきたのだと思います。インタビューから「機会は待つのではなく、自分でとりに行くもの。」「なりたい人生は自分で作ることができる。」という気づきと、何よりこず恵さんのまぶしい笑顔で、がんばるぞという元気を私もたくさんいただきました!