インタビュー|デザイナー兼経営者として、自由な働き方を実現 〜 澤田 恵利さん

転機は2人目妊娠のタイミング
自分が働く目的を、整理して考えてみた

フリーデザイナー・会社経営/澤田 恵利さん

恵利さんは、長女(3歳8ヶ月)、次女(1歳8ヶ月)のママ。
フリーデザイナーとして活躍しながら、週に2日はベンチャー企業の共同経営者として携わっています。複業を持ち多忙ながらも、会社員時代より自由になる時間が増えてストレスフリーに。人生の転機にどう向き合ったのか、どんな変化があったのか、女性のキャリアに対する考えを伺いました。

自分が働く目的を、改めて整理してみた

― あなたにとっての人生の転機は?

2人目の妊娠・出産がきっかけです。当時ベンチャー企業でインハウスデザイナーとして所属し、2人目育休中でした。育休復帰後はきっと時間に追われ、自分らしく生きるのが難しくなるだろうなと感じていました。平日ワンオペで、2人の育児と家事と仕事をすると考えたら……会社員復帰がイメージできず、独立の道を選びました。

専業主婦という選択肢ももちろんありましたが、私の場合は仕事を辞めたくないというのが大きくあり、育休中に自分がなんのために働きたいのか、きちんと整理して考えてみたんです。

働く理由は大きく3つありました。1つ目は「社会に貢献したい」という思いです。そのためには社会とつながっていたいこと。2つ目は「家族に1人の人間として尊敬される存在、子ども達にとって頼れる母でありたい」ということ。そのためには自分自身の成長が大事ですよね。3つ目は「自分で使うお金は、自分で稼ぎたい」です。働くことの大変さを知っているからこそ、経済的に自立していたいですね。また、子供たちには人生って、働くってこんなに楽しいんだよと体現したいなと日々思っています。

デザイナーとして独立準備をしている中で、前の会社の役員から声をかけていただき、理念がとても近かかっため一緒に会社を「株式会社LifeDesigning」を創業しました。デザインの仕事も続けたく、今は週3日はデザイナー、週2日は経営の仕事に関わるという、新しい働き方に挑戦しています。

デザイナー制作実績

仕事をしながら、人との関わりがひろがる
― 働き方を変えて、どんな変化がありましたか?

会社員時代はとにかく時間がなく、会社勤めだと人の輪を広げるのが難しかったです。平日は会社と保育園の送り迎えで飲みに行くのはハードルが高く、週末は家族と時間を過ごすしたいですし。独立してからは、時間をフレキシブルに使え、好きな時に会いたい人と会うことができ、一緒に仕事をしたい人と仕事を通じて輪がひろがり、一気に交友の幅も輪もひろがりました。また同時に時間に余裕ができ、新しいことにも挑戦しやすい環境になりました。

生活面では朝、子どもたちを急かすことがなくなり、時間に余裕ができ、心にも余裕ができました。以前は子どもが病気になると会社のメンバーに申し訳なかったり、仕事を持ち帰っていたこともありましたが、今は子どもが病気でも誰にも遠慮せず看病できます。こういう小さなことがママにとってはストレスになるなと改めて感じます。

また、独立前は1人で仕事することが心配ではありましたが、独立してみると自然とまわりの人に引き上げられ、自分の目標を考える機会や成長する機会がもらうことが会社員時代より多く驚きです。本当に今の環境に感謝しています。今は働きたい人たちと働けていることがとても幸せです。

株式会社Life Designingメンバー

子どもたちの未来につながるお手伝いができたら

― これから、やってみたいことはありますか?

1つは、教育事業です。娘たちと過ごす中で、子どもの未来について考えることが増え、自分の子どもだけではなくもっと輪を広げて、他の子どもたちの未来に関われることがしたいなと考え始めたのがきっかけです。今、株式会社LifeDesigingで教育事業の準備をしていて、今年中に立ち上げ予定です。

2つ目はデザイナーとして引き続き挑戦する企業や個人の方をデザインで応援したいと思っています。少しでも私のデザインがクライアントの追い風になれたらと常に思っています。今後は保育園や幼稚園、教育関係の方と一緒にお仕事がしてみたいです。将来的には、幼児向けのデザインワークショップなどもやってみたいですね。

最後にママパパ向け物販です。自分が子育ての中でこれ欲しいなと思うモノを商品化していけたらと思っています。私が困ってるってことは、きっと他のママも困ってるだろう、と思うんです。今その物販もはじめてみたら意外とたいへんで。やりたいことがどんどん出てくるので手が回らず、優先順位を決めないと、と反省中なんですが……。

恵利さんがデザイン・販売を手掛けるインテリアにもなる「あいうえお表」

― ママたちへのメッセージをお願いします。

女性は自分のキャリアを築きながら、人生の大きな転機である出産、育児があります。今の社会は働くママが当たり前という雰囲気ですが、働きながらの育児は決して簡単なことではないと思っています。だから、世の働くママはみんなすごいし、尊敬しています。まずは両立していることが凄いことに気づき、自分を褒めてあげて欲しいですし、自信をもってほしいです。

そして、これから結婚や出産を控えてる人は、出産前に自分のキャリアをイメージしておくといいと思います。

また「家族の理想のかたちは?」と考えるタイミングをもつことや、家族年表を作ることもおすすめです。子育て、家事、仕事、家族の時間、大事なことがたくさんある中で、時間は限らています。その時々の人生のタイミングで、家族の中で優先順位や目標を明確にし、共有しておくと相手に求めることも減り、自分が家族が気持ちよく日々を過ごせます。私たち夫婦も家族の中で優先順位や目標を明確にしたことで、平日のワンオペも快く受け止めれました。これから先、私の方の優先順位が上がることもあると思いますし。

年表は子供たちが何歳になったとき自分たちがどんな働き方をしていたいか、またどんなライフスタイルでいたいかなど明確にすることができます。親にとっては、どのタイミングでどう子供たちと過ごしたいかは目標の一個だと思います。ママもパパも子供たちも少しでもより良い1日が過ごせるといいですね。

 

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
江東区に住んで約4年です。
勤務時に夫婦ともに30分以内で通勤できるという観点で選びました。

七五三 門前仲町「富岡八幡宮」

この街の好きなところ
コンパクトにまとまっているところ。
病院やショッピングモールがあって、この街で完結できるところ。
おすすめのスポット
・新木場のカフェ casica
 おしゃれで席は広いし、子どもたちウェルカムだし、ベビーカーも邪魔になりません。
東京都現代美術館100本のスプーンはよく行きます。
わたしの子育て

わたしの家族
長女(3歳8ヶ月)、次女(1歳8ヶ月)、経営者の夫、私。
3歳の子は口が達者、1歳の子は絶賛イヤイヤ期です。
女の子なのもあって、ファッションは楽しいですね。
もうちょっとしたら2人で遊んでくれるんだろうな、と思ってます。

家でバレンタインクッキー作り

子育てで大切にしていること
何があったかをきくのではなく、気持ちをきくようにしています。
起きたことを整理して考え、発言できるように。色々体験させるようにしています。
子育て生活での失敗談
二人乗りベビーカーを買ったのですが大き過ぎて電車で不便……いらなかったです。
職業柄つい、自分のセンスや価値観をおしつけてないかと心配になることも。

 

■ 経歴 ■ 澤田 恵利(さわだ えり)さん
 1986年福岡県出身。デザイン学校卒業後、Web制作会社でデザイナー兼ディレクターとして学校や保育園などのプロジェクトに従事。2015年、東京の人工知能系のベンチャー会社へ入社。展示会から、販促物、Webサイト等、幅広いデザインに携わり、ブランディングマネージャーを経験。その後、人事部にジョブチェンジを果たし、採用・人事制度・社内イベントなどを担当。2019年よりフリーランスに転向。「better design」デザイナーとして、Webサイト立ち上げ、展示会、販促物、スタートアップ支援など活動中。週2日 株式会社Life Designing 共同創業者として経営に関わる。

―編集後記―

 デザイナーとしてのセンスと経営のパートナーに適した利発さを持ち合わせる恵利さん。ご自身のやりたいことも迷いなく行動に移す姿が格好良い!普段から旦那様とよく話をしていらっしゃる様子や、人生設計は家族単位でバランスをとられているというお話など、学ぶことだらけでした。様々なお仕事で恵利さんならではの、世の中にまだない価値を生み出してくれるんじゃないか、とこれからもご活躍が楽しみです。