インタビュー|1人1人が「私」でいられる喜びを提案したい〜田路 暢子さん

田路暢子さん

私も新しいことをしたい!
自分の心に素直に生きる楽しさ。

フリーランスライター/田路 暢子さん

暢子(ようこ)さんは小学2年生の男の子のママ。
化粧品会社勤務からライターへと転身し、全く違うフィールドでキャリアを積み始めました。「同じことを繰り返しながら、ただただ忙殺される日々はを過ごしたくない!」と強い意志で新たな道を歩み始めた暢子さんに、フリーランスになろうと決めたときの思いや、今後の夢について語っていただきました。

 

このまま、ただ与えられた仕事をこなす日々でいいの?

― あなたにとっての人生の転機は?

長男の小学校入学という大きな節目のときです。

2019年春に息子が小学生になりました。大切な育児の節目を迎えたことを機に、「自分自身も、ただ忙殺されながら過ぎていく毎日を一度止めてリセットしたい。40代では、これまでと違う経験をしていきたい」という思いが強くなりました。この時は大手化粧品会社に勤めていました。入社以来広報を担当していて、プレスリリースの作成をはじめ、新商品発表会の企画や運営、取材対応から昨今は自社サイトの制作やSNSの発信などを行っていました。やり甲斐のある仕事でしたし、多くの人に商品の素晴らしさを伝えられることは喜びでした。

しかし、仕事と家事と育児をこなすことに心身ともに疲れてもいました。このまま約14年間やってきたことを、これからも繰り返すだけでいいのかな?と自問自答の日々。「今の仕事も有意義だけど、そろそろ新しいことをしてみたい」という思いも湧いていました。一度立ち止まって、半年くらいかけてゆっくりリフレッシュして、新しいステップを踏み出したい。まだ40代に入ったばかり、40代ならまだ体力がある!新しいことにも挑戦できる!と“今”の思いを信じて、2019年夏に退職しました。とにかく人生に新しい風を吹かせたかったのです。

田路さん隅田川テラスにて

家族とも丁寧に過ごしながら自分を磨く日々に

― その後、どんなことが変わりましたか?

退職してからの約1年間は、家庭を優先にのんびり子どもと向き合って過ごしてきました。息子の冬休みには、終業式の夜から始業式の前日まで丸々、家族みんなでハワイで過ごせたんです!前職に勤務していたときは、こんな贅沢な家族の時間はなかなか取れませんでした。その後、2020年のコロナ禍での登校禁止や外出自粛期間もあり、本当に子どもと濃密な時間を過ごせたと感じています。また、その期間に自分自身も資格の勉強をして、いくつかの資格も取得できました。

そんな生活のある日、自身がターゲット層でもある某ファッション誌のライター募集を見つけたのです。広報をしていた頃にライターさんと一緒にお仕事をする機会も多かったので、仕事内容のイメージはなんとなくつきました。前職で培った広報のノウハウを活かせる場でもあると思い、応募することにしました。書類審査や面接があり、久しぶりにとても緊張しましたが、ご縁があって採用いただけることに。そして2020年7月、フリーランスのライターとしての活動が始まりました。

ファッション誌は企画から発売までに様々な工程があることから、たとえば7月から携わってきた企画の号が、10月に初めて発売を迎えることになります。本当に全てが初めての経験で、うまくいかなくて落ちこんだこともありました。でもやっぱり楽しいですね。私と同世代女性向けの雑誌なので、まさに自分の知識にもなりますし、やり甲斐も大きいです。それに、私が出した企画が採用された時はとても嬉しいです。

まだ「フリーランス」という働き方に慣れなくて、空いた時間ができると変に焦ってしまったり、突然の打ち合わせ依頼で日程調整に苦心したり、仕事がいくつか重なるとあたふたしたりすることもあります。早くペースをつかみ、バランスを取りながら仕事と私生活を楽しんでいきたいと試行錯誤しています。

突然の日程調整に苦心していると言いましたが、調整作業は前職でも自らしていました。ただこのときは勤務時間の中で設定すれば良かったのですが、フリーとなった今は夜の外出になってしまうときが稀にあります。夫と協力しあい、今のところ長男が1人になってしまうことはありません。でも、その時が来てしまったらシッターさんにお願いしないといけないなと思っています。

また、友人の会社の広報のお手伝いもしています。こちらはオフィス出勤ですが、雑誌のお仕事を優先させてくださるので両立しやすい環境です。

田路さん現在の仕事

 

女性がHappyを感じられるひとときを提供したい!

― これから、やってみたいことはありますか?

雑誌のお仕事では、自分が考えた企画に自分で取材から撮影やライティング(執筆)まで一貫して関わってみたいです。その企画を読んだ女性たちに、幸せやワクワクを感じてもらえたり、何かを始めるきっかけにしてもらえたら嬉しいですね。

あとは広報担当だった前職のノウハウを活かし、プレスリリースの仕事も増やしていきたいです。大きな企業には広報部がありますが、専任の広報担当を立てていない会社さんやNPO法人さんも多くいらっしゃいますよね。他のお仕事と兼務されて「広報まで手が回らない」といったお悩みを聞くこともあります。そういう企業様のお手伝いができたらいいなと思っています。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

とにかく「自分が健康」でいないと!40代になって、健康だったらなんとかなると思うようになりました。自律神経を整える、身体を動かす、自分の好きなこともする。そうやって心身ともに健康でいないと、母親業も仕事もつまづいてしまうかもしれませんから。

もう1つ、「自分の子どもを他の子と比べない」こと。うちの長男は現在小2ですが、もっと幼い頃は何かあると私がつい他の子と比べてしまい、気にしていたんです。でもそんな必要は全然ありませんでした。だいぶ前のエピソードですが、ちょうど3歳の誕生日の頃に集団で受診する「3歳児検診」を、長男だけが泣いて嫌がって部屋に入れず……受けられなかったんです。他の子はすんなり受けているのに、何が問題があるのかと悩み、帰宅して私が泣きました(笑)。でも、その後順調にスクスクと成長していく様子を見ると、あれはあの時の長男の気分だったんだ、成長の一過程だっただけで、何も思いつめることはなかったんだ、と思います。今となれば笑い話、良い思い出です。

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
2011年から中央区に住んでいます。夫が元々築地に住んでいて、結婚して一緒に住み始めました。妊娠してファミリータイプのマンションを探す時も築地の中で選びました。夫の会社に近く、銀座や豊洲に近い、空港に行きやすい、大病院がある、区役所がある、とにかく利便性が高い街です。都会なのに下町情緒が溢れているところも好きですし、公園や自然が多く、街の人の人柄が良いというところも安心して暮らせる理由です。

この街の好きなところ
江戸の風情がそのままのお祭り。銀座はすごく都会なのに、昔ながらの神輿が通る。この、今と昔が調和されている空間がとても好きです。あとやっぱり築地は美味しいものが多いですね。
通学路にある商店の方々や街の人たちが挨拶をしてくれ、登校を見守ってくれている安心感にも幸せを感じます。
おすすめのスポット
「隅田川テラス」です。大きくゆったりとした隅田川の開放感がとても好きです。ここで散歩やジョギングをしたり、コロナの自粛期間中は親子で縄跳びもしました。大好きなアニメ『3月のライオン』の舞台にもなっていて、歩いていて楽しいです。
 
わたしの子育て

わたしの家族
長男(2012年8月生まれ)、夫(自営業)、私。

長男は保育園・小学校ともに先生にもお友達にも恵まれ、のびのびと楽しそうです。お友達がしょっちゅううちに遊びに来てくれて……なんだか昭和な感じで楽しいです。

夫婦のどちらも時間調整しやすい自営業になったので、家族の予定を合わせやすいメリットは増えました。でも自営同士だとローンを組みにくいだろうな、とちょっと思ったりします(笑)。

子育てで大切にしていること
本人の意思を尊重すること。
否定しないこと。
視野を広げてあげること。

やりたいことはできるだけやらせてあげたいと考えていますし、いろんなところに連れて行って、視野が広がる助けができたらと思っています。

子育て生活での失敗談
ゲームやYouTubeを早く与えてしまったこと!?でもデジタルネイティブの世代なので、そういったものに全く触らないというのも違う気がしますし、失敗かどうかはこれからの息子との関わり方で変わると思っています。失敗にならないよう、ゲームだけにならないよう、多様な価値観を教えてあげたり、色んな世界を見せてあげたりしたいです。

 

■ 経歴 ■ 田路 暢子(とうじ ようこ)さん
1977年生まれ。フリーライター。約6年間人材会社で派遣コーディネーターを担当。その後約14年間大手化粧品会社で広報を担当。長男が小学校入学を迎えたことを機に、自分自身も新たなステップを踏み出すべく退職。のんびり家族との時間を過ごすなどリフレッシュ期間を経て、2020年6月からフリーライターに。ファッション誌のライターや、企業の広報のサポートなどを行う。

 

田路暢子さんのInstagram

 

―編集後記―

インタビュー中はずっとニコニコ活き活きしていて、情報を発信することが大好きなんだなと伝わってきました。悶々とした中での忙しさから、学びが多い忙しさに変わり、家族との時間も増えたことは、夢に向かって突き進む糧になっていることと思います。新しい風を吹かせたい!と自分を信じて行動する暢子さんの、「自分の企画で誌面を飾りたい」という夢が叶った雑誌を抱きしめる日を私も楽しみにしています。あと、彼女が大好きだという『3月のライオン』を読みたくなりました!