インタビュー|芸能界の不規則な生活から、平穏な日常へ。セラピストとして地域に癒しを届けたい 〜 福島 永理佳さん

福島永理佳


私自身を好きになれた
今度は癒しを地域に届けたい

セラピスト(エステティシャン・ヨガインストラクター) / 福島 永理佳(えりか)さん

永理佳さんは2児の母。ミュージカルの舞台に立つ夢を抱いて上京、女優やMCで活躍。現在はエステとヨガを通して癒しを届ける「セラピスト」として活動しています。セラピストに転身したきっかけや、その転機にどう向き合い、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

 

映像作りが楽しかった日々から一転、心身共にしんどくなった芸能界

― あなたにとっての人生の転機は?

26歳で女優業を諦めて、エステティシャンの道を選んだことです。

中学生のときに「劇団四季」のミュージカル『ライオンキング』を観て、自分もミュージカルの舞台に立ちたいと思ったのがミュージカル俳優を目指したきっかけでした。当時は合唱団に入っていて、コンクールに出ることも好きだったので、舞台を観て「これだ!」と。そして高校を卒業後、東京にあるミュージカル専門学校に進学しました。通学にオーディションにアルバイト、多忙でしたが楽しかったですね。“その日暮らし”のような日々もありましたが、自由にできる暮らしを楽しんでいました。

学校の隣には映画の専門学校があり、そこの生徒とも交流を持つようになりました。彼らは制作、私は演者として一緒に映画を作ったときに芽生えた「映像作りって楽しい」という気持ちが私を動かし、ミュージカル専門学校を中退。20歳頃から俳優養成所へ通い始めました。

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女優時代のワンショット

芸能プロダクションにも所属したのですが、大きな会社ではなかったので、自分でも積極的に仕事を取るための営業をかける必要がありました。たとえ真夜中であっても、芸能関係者から声がかかればお酒の場に駆けつけ、先輩もいればさらに気を使い……正直とてもしんどかったです。女優業だけでは十分な収入を得られず、アルバイトもしていたため体力面でも大変でした。好きだったダンスや歌も、仕事となると当然プロとしての質を求められます。叱られるばかりの日々が続くうち、好きだったはずのことがだんだんと嫌になってしまっていたんです。

好きだったダンスや歌も、仕事となると怒られることが多く、嫌になっていたんです。途中からはもはや、ただ意地で女優業を頑張っているような状態でした。以前から親に「25歳でけじめを」と言われていた私。そんな中で25歳も過ぎ、芸能界から退くことを決めました。一方でこの頃、エステティシャンのアルバイトは楽しかったんです。だから、エステティシャンの道を歩むことにしました。ちなみに当時働いていたのは小顔矯正のエステで、芸能界で輝いているお客様も来店していたんですが……自分とはオーラが全然違いましたね(笑)。

 

生活リズムや食生活を整えて変わった心と、地域への想い

― その後、どんなことが変わりましたか?

生活環境が180度変わり、とにかく精神的に安定し、自分自身を好きになりました。

ちゃんと朝に起きて、夜に寝る。食事もコンビニ弁当や外食の回数が減って自炊するようになり、生活のリズムや食生活が整いました。とても穏やかで平和な生活ですね。

32歳からはエステとヨガを1つのサロンで受けられるお店で働きました。ヨガスタジオを運営しているインストラクターが「このヨガスタジオでエステもやりたい」という夢を持っていて、他のヨガ仲間と一緒に4人で協力して立ち上げたお店でした。私自身も20歳から続けてきたヨガが大好きで、インストラクターの資格を持っていました。だから、ヨガインストラクターとしてもエステティシャンとしても活躍できるこのサロンは、私の働く場にぴったりで。

その後、通っていた美容院の美容師さんと結婚し、2人の子どもを授かりました。長女と長男が保育園に同時入園できたのを機に、当時のサロンから独立しました。

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夫の美容院ではヘッドスパの施術を担当

2019年から自宅で「cocoサロン」というエステサロンをやっています。自宅サロン以外にも、夫の美容院「sugar.c(シュガー・シー)」で、ヘッドスパの施術を担当しています。

最近は中央区の子育て支援施設「グロースリンク勝どき」で、月に1度親子向けのイベントを開催しています。キッズダンスインストラクターの翔子先生と一緒にやっていて、親は私のヨガレッスンを、子どもは翔子先生のダンシングリッシュ(ダンスと英語を同時に学べる習い事)レッスンを受けられます。レッスン中は親たちにとって100%自分のための時間になるので、ヨガを通して自分とゆっくり向き合い、癒しの時間にしてくれたらいいなと思っています。

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年齢を重ねることを気にするより、今を生き生きと

― これから、やってみたいことはありますか?

自宅サロンにも美容院にも、お世話になっている地域の方々にももっとご来店いただきたいと思っています。地域との繋がりを持ちたい、恩返しをさせていただきたい、という思いがあるんです。皆さんが身も心も綺麗になって、生き生きと暮らせるようなお手伝いをできたらと。美容院にはベビーカーを置ける席も設けていて、子連れのお客さんも安心して利用できるようにしています。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

年齢を重ねることを怖がらないでほしいです。更年期、足腰が弱くなる、シミやシワ、たるみなど、誰でも経験することなので!心も身体も元気でいられることを、日常に取り入れて生活できたらいいですね。あと、家族や大切な人とコミュニケーションをとることも大切だと思います。でもそれ以上に、まずは自分自身を大切にしましょう。

 

わたしと街のつながり

中央区とのかかわりは?
2017年の夏頃に引っ越してきて、月島に住んでいます。エステやヨガも、夫の美容院も中央区内です。長女が生まれた年に引っ越して来たので、子どもと一緒に関わらせてもらっている大切な街です。

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この街の好きなところ
子どもにも、子育て中の親にも優しいです。道が広いのでベビーカーでのお出かけもしやすいです。児童館や図書館が近所にあるのも助かってます。
おすすめのスポット
「隅田川テラス」です。ここを歩くととても気持ちがよく、子ども達にとっても、良いお散歩になります。川越しに歴史ある木造建築と新しいタワーマンションを一度に眺められるのも、この地域ならではの景色ですね。あと、月島の「元氣喫茶」も素敵です。古民家のカフェで、発酵食品を取り入れているんです。
 
わたしの子育て
わたしの家族

2017年3月生まれの長女、2018年12月生まれの長男、美容師の夫の4人家族。
長男が生まれると、1歳8ヶ月だった長女は赤ちゃん返りして大変でした。出産にリスクがあり、出産予定日の1ヶ月前から入院していたんです。その間は祖父母が面倒を見てくれていたのですが、1回も泣かなかったそうで。いっぱい我慢していたのでしょうね。私が帰ってきたら、その分甘えん坊になったんだと思います。今でも弟へのライバル心が見え見えです!

 

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子育てで大切にしていること
・ちっちゃいことは気にしない!
・子どもの前で夫婦喧嘩してしまったら、子どもの前で謝る。喧嘩したら謝って仲直りするよう子どもに声がけしているので、大人もやらないと(笑)。夫婦で実践してます。
・「大好きだよ」と子どもにとにかく伝える!

子育て生活での失敗談
・2人とも成長も発語も一般的な時期より遅く、ついつい周りと比べて怒ってしまうことがあります。私だって人と比べられたら嫌なのに、子どもにやってしまうといつも反省しています。
・長女の赤ちゃん返りのときは心に余裕を持てなくて、けっこうイライラしてしまいました。

 

■ 経歴 ■ 福島 永理佳(ふくしま えりか)さん
エステとヨガを通して癒しを届ける「セラピスト」として活動している。高校卒業後、ミュージカル俳優を目指して上京。ミュージカル専門学校時代に友人との映画制作を経験、舞台から映像へ活躍の場を移す。女優やMCとして活動した後、26歳でエステティシャンに転身。32歳からはヨガインストラクターとしても活躍。38歳で独立、自宅にてアーユルヴェーダ(オイルマッサージなど)とHIFU(リフトアップ施術)のサロンを開業。夫の美容院でヘッドエステの施術も行っている。

Instagram
sugar.c 

 

―編集後記―

インタビュー中、終始笑顔の永理佳さんから、今の生活を本当に楽しんでいらっしゃることが伝わってきました。「子どもに声がけしているので、大人もやらないと」という言葉にハッとした方も少なくないのではないでしょうか。「子どもは親の鏡」と言いますよね。私も今一度、普段の言動に気を付けよう、と思わせてくれました。

2021年10月取材