インタビュー|「育児とのバランスを取りながら働きたい」子育て中の今だからこそ、フリーランスライターという選択〜 堤 真友子さん


「育児とのバランスを取りながら働きたい」
子育て中の今だからこそ、フリーランスライターという選択

フリーランスライター/堤 真友子(つつみ まゆこ)さん

真友子さんは、5歳の男の子のママ。人材系企業でのライター経験を活かして出産後、フリーランスのライターとして活動を始めます。初めての育児に戸惑いながらも仕事を再開したことで、家族への感謝の気持ちが芽生えたと話します。人生の転機にどう向き合い、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。


落ち込むことが多かった、初めての育児。新たなキャリアスタートで心機一転

― あなたにとっての人生の転機は?

第一子出産後、フリーランスのライターとして活動を始めたことです。

社会人2年目でライター業を担う部署へ異動になったのが最初のきっかけでした。2008年に新卒で人材系企業に入社した私は営業に配属されましたが、その年リーマンショックによる景気悪化の影響が会社にも波及。当時は何をやっても売上が上がらない、という状況でした。例にもれず私も営業成績をなかなか上げられず、思い悩んでいました。そこで上司から打診があり、ライター部門へ異動することになりました。与えられた仕事ではありましたが、ライターの業務はやりがいもあり楽しかったです。
その後、転職や結婚を経験し、第一子である息子の出産を機に、一度は専業主婦になりました。それが2017年1月のことです。

初めての育児でわからないことだらけ。赤ちゃんにも個性があるから、育児書通りにならないこともしばしば。私と息子のやり方を手探りで模索している中、気持ちが敏感になってしまって、他人からの助言をうまく受け入れられない時期がありました。ちょっとしたことで落ち込み、夜中に涙してしまう。仕事をせずに育児だけ、という状態も私にとってはよくなかったのかもしれません。周りの友人は企業で働いている人が多く、同じ時期に出産した友人も0歳児クラスからの入園を目指して保活を始めていて、自分とは違うな、と距離を感じていました。

この状況を打破するため働こうと考えたとき、ライターとしての自分の武器を思い出しました。当時私たち家族が住んでいた地域は待機児童が多いエリアで、フルタイムの共働き世帯というのが保活のスタートラインだなという印象。いきなり子どもを保育園に預けてフルタイムで働けるか自信はありませんでした。それなら子育ての合間にできる仕事をしたい。ライターはフリーランスという働き方も多いので、今の私にぴったりなんじゃないか。育児とのバランスを加味しながら仕事の量を調整できるのがフリーランスのよさだなと思い、2017年9月にフリーランスライターとしてのキャリアをスタートさせました。

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家族と助け合いながらの育児で、感謝の気持ちが芽生えた

― その後、どんなことが変わりましたか?

会社員時代にたくさん見てきた同僚ママたちは、時短勤務の上に終業後はダッシュで子どものお迎えをして、料理、お風呂、寝かしつけ。自分もいつかそうなるんだろうと思っていました。フリーランスのライターになってみて、取材以外の仕事のタイミングは自分でコントロールできたので、乳幼児期の子どもを育てるママとして働きやすく、私には合っていました。フリーランスや複業など、多様で自由な働き方の浸透もその一つだと思いますが、子どもを育てる親・保護者が働きやすい環境が、もっと整った社会になっていくといいなと感じます。

また、新型コロナウイルスの影響もありますが、幼稚園の休園で子どもが家にいる横で仕事をすることがあります。息子が大きくなる頃には、今よりもさらに男女が平等に働く社会になっていると思うので、パパとママが仕事をしている姿を、当たり前の姿として見せられたのは結果的によかったなと思います。

一方で私の精神面の変化で言うと、家族への感謝の気持ちが新たに芽生えました。取材のときは近くに住んでいる両親に子どもを預かってもらったり、休日は夫に子どもを任せてカフェで作業したり。育児への不安や不満、働いている友人たちと自分を比べての焦り、それらから脱却するために仕事の再開を決めましたが、家族のサポートがないと成り立ちませんでした。私の仕事に理解を示し、協力をしてくれる家族に本当に感謝しています。

自宅でのオンライン取材の様子


周りの刺激を力に変えて、成長しながらライターとして働き続けたい

― これから、やってみたいことはありますか?

変化するライフスタイルに合わせながら、ライターという仕事を続けていきたいです。

企業に所属していたときは、周囲からアドバイスを受けながらライターとしてのノウハウを高め、成長することができました。フリーランスの立場だと意見をもらえる機会が少ないため、スキルアップが難しいと感じます。だから積極的に勉強を続けて、素敵な文章を綴る先輩ライターに匹敵するスキルを身につけていきたいです。

ただ、私は自分に甘いタイプ(笑)。怠けていても家族が叱ってくれるわけでもないので、怠けているときは自覚して自分のお尻を叩かないといけないんです。私の場合、自らを奮い立たせる秘訣は、周りからの刺激。メディアの記事やコラムを読む、セミナーに参加する、インタビューの同行者の鋭い質問から学ぶ。そんな気持ちが高まる刺激をモチベーションにしています。

プライベートでの目標というか心構えですが、今この瞬間の親子関係を楽しみたいです。わが子は男の子ということもあり、親離れは早いかもしれませんが、その未来を受け入れながら、いい距離感で関係を築いていきたいなと思っています。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

今目の前にいるお子さんとの尊い時間を大切にしてもらえるといいな、と思います。子どもはあっという間に成長します。赤ちゃんの時期は特に一瞬。けどその瞬間瞬間は本当に大変ですよね。私自身、乳児期の息子を抱えながら、早く大きくならないかな、授乳終わってほしいな、そう思うこともよくありました。今思えばそれもすごく幸せな時期だったと感じます。育児に疲れることは自然で、その感情を否定する必要はないんです。一瞬一瞬のわが子を愛しいと感じる気持ちを心の奥に潜ませると、いろんなことにがんばれると思いますよ!

わたしと街のつながり

江東区とのかかわりは?
江東区有明在住。3年ほど前までは中央区に住んでいた。

豊洲から水上バスに乗ったときの一コマ

この街の好きなところ
安心して子育てできる環境であるところ。ファミリー層が多く、公園ではたくさんの子どもたちが遊んでいる。また、歩道が広く作られているため、通学なども安心できる。
おすすめのスポット
隅田川など、水辺の落ち着く景色が多くて癒し。「豊洲ぐるり公園」では東京湾とレインボーブリッジを一望できる。
わたしの子育て

わたしの家族
夫と幼稚園年中の息子。 ※2022年2月時点
ひとことで言うとお調子者の息子。活発でよくしゃべっている。

乗り物好きの息子とした電車旅での一枚


子育てで大切にしていること
見守ること。危ないこと以外は、やりたいと言ったことはなるべくやらせてみる。「子どもだから(できない)」というフィルターをかけず、一人の人として向き合うように心がけている。
子育て生活での失敗談
息子の本心を汲めずにさせてしまった習い事。基本的には体験させて本人の意向を聞くが、本当にやりたがっていないとすぐに飽きてしまう。周りの子どもたちが習い事をしているからといって、焦ってさせるものではないなと思った。

 

■ 経歴 ■ 堤 真友子さん(つつみ まゆこ)さん
 大学卒業後、新卒で人材系企業に入社し、営業を1年、ライターを約5年経験。その後、IT企業に転職し、マーケティングライターを経験。結婚・出産を経て、2017年よりフリーランスライターとして活動中。インタビュー記事を中心に、採用広告、オウンドメディア、医療系記事などの執筆に関わる。

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―編集後記―

取材中、明るく人当たりのいい笑顔を向けてくださった真友子さん。「自分に甘い」とおっしゃる彼女ですが、お仕事ぶりをうかがうと、とんでもない。あえて難易度の高いところに身を置いて自己成長を怠らない姿は、生き生きして眩しく、私自身も身の引き締まる思いがしました。今後も真友子さんの素敵な文章をたくさん見られること、楽しみにしています!

 

2022年2月取材