インタビュー|不自由が爆発したあの日から 後悔しない生き方がはじまった〜 野口美希さん

不自由が爆発したあの日から
後悔しない生き方がはじまった

お稽古サロン「OUR STYLE(アワースタイル)」主宰 / 野口美希さん

美希さんは2人の男の子のママ。多忙を極めたアパレルの管理職を退職後は、子育てをしながらたくさんの資格を取得し、お稽古サロンの主宰、さらに現在WEBの学校に通うなどパワフルに活躍されています。そんな彼女の人生の転機はどのように訪れ、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

無駄にしたくない、後悔したくない
止まった針が動き出した

― あなたにとっての人生の転機は?

「専業主婦なのに、なんでお小遣いが必要なの?」
今でこそ応援をしてくれる夫の、悪意なき一言が転機になりました。

私は10年間アパレル業界で販売・企画・管理職とキャリアを積みました。管理職としての仕事や大好きな接客にやりがいを持って取り組んでいたのですが、店舗の出店ラッシュで休みが取れず、激務がたたり片頭痛でお店に立つのもしんどい状況に。その頃付き合っていた彼(現在の夫)に「その忙しさ、異常だよ」と言われるほどでした。
結婚してしばらく経ったあと、子どもが欲しかったので体調優先で退職することにしました。

その後第一子を出産、1年ほどたったある日。
洋服の大好きな夫が高級Tシャツを購入してきたというので、私も「でかけたり息抜きとかしたいから、お小遣いが欲しいな」とこぼしたところ、冒頭の一言が飛び出しました。今思えば「生活費から出せばいいのでは?」という提案だったのだと思うのですが、当時の私は言い返すこともなく、純粋にへこみました。会社を辞めるか葛藤した時に、夫が背中を押してくれたことで決断でき救われたという“恩”と、その結果夫に養ってもらっているという罪悪感や不自由さがあったのだと思います。私の中で、「何かしたいんだったら、自分でお金を生み出すしかない」という思いが爆発した瞬間でした。

その後、就職に向けて動き出しましたが、当時私は30歳過ぎ。
情報収集をすると35歳以降就職できるチャンスが減ると知り、「子どもの手が離れるまで待ったら、仕事は見つからないかも」「子どもは1人だけ?」など絶え間ない焦燥感に駆られるように……。
次第に「働くなら今。とにかく早く始めたほうがいい」という気持ちが芽生えてきました。
夫の言葉にへこんでいる時間が無駄だし、今行動を起こさなければ、未来の自分が後悔する、どうせならやって後悔しよう!と強く思うようになりました。
そこから、人生が「もっと学びたい」「早く動きたい」とスピードアップしました。
一方で「3歳までは子どもは預けない」という夫の方針、私自身もそれを尊重したい気持ちもあったので「まずはいつかのための下準備!」と思い資格を取り始めました。

 

人が大好きだから、相手も自分も良くなるような仕事を
新たな挑戦の日々

― その後、どんなことが変わりましたか?

仕事に汎用できそうなマイクロソフト社のものから趣味のお花まで様々な資格を取得しましたが、中でもハーバリウムやお花を使ったレッスンがとても楽しかったことから、お稽古のサロンを始めました。夫の休みの日のみの開講で安定した収入を得ることができるようになり、何より生徒さんたちから刺激や癒やしをもらっていて、とても充実しています。

またサロンを運営していく中での課題も見えてきました。サロンにとってホームページの運用は必須なのですが費用が高かったり、駆け出しのサロン経営者さんたちは収入が少なく苦労をされています。現在はサロン運営の傍らWEB制作の学校に通っていて、もっと勉強してそういう方々の力になれればいいなと思っています。少しずつWEBの仕事も増えてきたんですよ。
前職もそうでしたが、私はお花というより「人との関わり」が好きなのかもしれません。
古風な価値観の夫とは相変わらず喧嘩もしますが、冷やし中華を茹でることもできなかった彼が自らご飯を用意してくれるようになったり、年長の長男も「がんばってね」と言ってくれるなど、家族みんなが応援してくれています。私の本気が伝わったかな。

そして来月から、子どもたちを保育園に預けることが決まりました。うれしい反面「子どもがいるからゆっくりやろう」という自分への言い訳ができない状況になるので、とにかく気持ちが引き締まる思いです!

自分にできることで、ママも地元も元気にしたい

― これから、やってみたいことはありますか?

WEBの勉強を始めた頃は自分自身が自立したいという思いだけでしたが、現在は同じような立場のママたちに低価格でPCのレッスンをし、お仕事を依頼できるようなシステムを作れたらなと思っています。また、地元の千葉県への地域貢献、例えばかつての私のように保育園に入れたくても難しい方へ、何か自分ができることでサポートできたら嬉しいです。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

振り返った時に「あの時やっておけばよかったな」と思うなら「やって後悔」した方がいいと思います。その時には戻れないのだから、今チャレンジしてほしいです。「人生の中で今が一番若い!」ですよ。

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
居住7年。夫の会社の社宅があり引越してきましたが、居心地が良くまた江東区内で引っ越ししました!

木場公園

この街の好きなところ
大好きなディズニーランドや実家のある千葉、また都心にもすぐ出ることができる立地の良さ、そして新しさと古さが共存する街の雰囲気です。水かけ祭りなど地域のイベントが多いこの街は子育てにもいい環境で根づきたいという気持ちにさせてくれます。地元の優しい人・お店、カフェやパン屋さんなどの新しいお店。いつも新鮮な気持ちにさせてくれる街江東区が好きです。
おすすめのスポット
木場公園・運河沿い、豊洲。
特に木場公園は、四季の移り変わりが感じられるところが好きです。春は桜、夏はじゃぶじゃぶ池やBBQ、秋は紅葉、冬はひんやりとした空気……。どの時期に行っても公園を楽しんでいる人々がいて見ているだけで癒されます。近くには子連れ歓迎のカフェが多く、園内にも飲食のできるスペース『KIBACO』が昨年(2020年)誕生。授乳やオムツ替えなどもしやすくなりさらに子連れで行きやすくなりました。
わたしの子育て

わたしの家族
長男は鉄道オタクな頑張り屋さん。いつも応援をしてくれる私のいちばんの味方です。次男は長男が大好きすぎて、なんでも一緒に行動したいわがままな甘えん坊!

子育てで大切にしていること
自分の味方は親以外にもたくさんいるんだよ。ということを子どもに感じて欲しくて、意識的に帰省するようにしています。
親は初めての子育てですぐヤキモキしたりしてしまうけれど、祖父母は経験からどーんと構えているからこそ余裕がある。だからたくさん祖父母に甘えてほしいなと思っています。私の母が祖父母に支えられ、その後介護をしてきた姿を見ていたので、私自身も両親からたくさんの気付きや学びがありました。理想はサザエさん一家。子どもにはカツオくんたちのように、たくさんの人に怒られ、褒められ、愛されてほしいです。
子育て生活での失敗談
長男について。お手伝いをよくしてくれるのですが、余計時間がかかってしまうこともしばしば。あまりに急いでいるとついついきつめの言葉で急かしてしまうことも……必ずフォローするようになりました。また次男が生まれお兄ちゃんになってからは、我慢や気持ちを押し殺してしまうことが多く心配になり、2人の合言葉を決めました。「本当の気持ち」と長男が言い始めた時は、いつでも手を止めて話を聞くことにしました。わがままが出たとしても、なるべく聞いてあげるようにしています。

■ 経歴 ■ 野口 美希さん
 アパレル業界にて販売・企画・管理職を経験後、妊活を機に10年勤めた会社を退職。2015年に長男、2019年に次男を出産後、現在はお稽古サロン「OUR STYLE(アワースタイル)」を主宰。またWEB制作の学校でデザインの勉強をしながら、制作の受託もしている。

お稽古サロン OUR STYLE
Instagram
WEBデザイン OURSTYLE.Design
Instagram

―編集後記―
人が好き、と話す美希さん。家族だけでなく、お客様など周りの人を大切に想い、自分のできることで貢献しようとする太陽のような人でした。誰かのために頑張りたい、というのはなかなかできないこと。美希さんの周りには応援団長のご長男をはじめ、仲間がたくさん居るんだろうなと思います。素敵なチャレンジ、心から尊敬します!