インタビュー|会社員とコーチングのWワークで自分の好きを仕事に 〜 田口 愛実さん

「人と比べないで、好きな気持ちを大切にする」
背負っているものが取れて仕事が楽しくなった

会社員/田口 愛実さん

愛実さんは、長男(5歳)、長女(1歳11ヶ月)のママ。
リクルートで会社員として活躍しながら、複業でコーチングにも携わっています。会社員とコーチングのWワークで多忙ながらも、今のほうが充実して楽しい!と言います。人生の転機にどう向き合い、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

自信のない私を変えたコーチングとの出会い
― あなたにとっての人生の転機は?

2人目の育児休業中にコーチングの学校に通い、複業でコーチングを行うようになったことです。

そもそも私は自信のない自分が嫌でした。小さい頃から習い事や勉強などで周りと比較してしまう環境にあったせいか、ある程度の結果を出しても心から嬉しいと思えず、自分の足りないところに目が行き、落ち込んでばかり。社会人になってから自己啓発のセミナーや本で自分に向き合ってきましたが、自信を持てるようにはなりませんでした。キャリアにおいても、周りが出世している中で2人の子どもを抱えて不安がありました。自分はこの先どうなるんだろう、と。

一方で子どもって何をしても可愛いし、ゼロからいろんなことを吸収していくのを見ると可能性の塊で、とにかく真っ直ぐ自分らしく毎日を楽しんで欲しいなと思っています。私の母に子どもの可愛い写真をよく送るのですが、「孫も可愛いが、愛実がママをやっている姿が可愛い」と言われ、私が子どもたちに対して、自分らしく毎日を楽しんで欲しいと思うように、母も私にそう願っているんだろうな、「私は私でいいんだ」と思えるようになりました。

そのうち「自分の好きなことで食べていきたい」と強く感じるようになりました。そして私の好きなことは、人の話や人生を聞くことだなと。本業でお客様の話を聞いて課題解決をする業務が長かったこともあって、コーチングがいいかもと思いました。夫に本気を伝えるプレゼンをして通い始めたコーチングの学校で勉強するうち、自分に軸がない生き方をしてきのだと気付きました。人に合わせすぎたり気を遣いすぎたり……。コーチングを通して自分の好きなことや嫌いなことがわかり、曖昧だった自分の輪郭がはっきりしてきた実感があります。そしてクライアントが変わる瞬間を見ると、私自身も本当に勇気をもらいます。

月に数回、興味ある勉強会やセミナーに参加。オンラインなら子ども同伴でできることも

自分の制限を取り除き、人と比較しなくなった
― 自分の好きなことをやってみて、どんな変化がありましたか?

仕事では、人と比較することがなくなりました。これまで、「妊娠中はどこまでがんばればいいか」を友人に尋ねるほど、人の基準を気にしていましたが、コーチングを受けることで見方が変わりました。その友人にも「妊娠中の辛さは妊婦のあなた自身にしかわからない」と指摘されましたが、これまで他人の『正解』を自分の基準にすることで自分を認めていたのです。

好きだったらおもいっきりできる。自分に響かないものは能力がないのではなく、やりたいことじゃないんだなと思えたとき、背負っているものが取れた気がしました。やらないものがあっていいんだ、と自分の制限を取り除くことができ、本業も楽しくなりました。コーチングを複業にしてから仕事量は増えたので忙しくはなりました(笑)。でも楽しいので苦には思いません。

育児に関しても、子どもの考えをしっかり聞くようになりました。「NCRW」というコーチングの大好きな用語があって、”People are naturally creative, resourceful, and whole.”の略で、『人にはもともと自己成長の能力がある』という意味。

子どももその通りで勝手に成長するし、価値観も尊重したいので、彼らには一人の人間として接して耳を傾けるようにしています。

携帯、ノート、ペン、イヤホンがあれば、コーチングのお仕事ができちゃう

好きな仕事も、子育ても自分らしくめいっぱい楽しみたい
― これから、やってみたいことはありますか?

独立して、自分の理念にあったことをやっていきたいと思っています。具体的には自信のない人や、自分らしく生きたい人のサポートをしていきたいです。例えばママや、学生とか。コーチングを通して自分の人生の軸が見えることがあるので、それで自分の好きなことを仕事やライフワークにする人が増えて、結果的に世の中が良くなると嬉しいです。

なぜ独立なのかというと、本業は意義ある仕事でやりがいもあるし、環境に不満はない、けど一日はあっという間に過ぎていく。これで私の30代って終わってしまうのかな、おばあちゃんになったらこの毎日を覚えているのかな、と思ったからです。

『好きこそ物の上手なれ』と言いますが、好きなことが仕事だったら夢中になってストレスなく思いっきりできるし、可愛い盛りの子どもとの日々を目一杯味わうことができる、と自分に期待しています。

今はコーチングで得た売上の一部をユニセフに寄付するなど、自分が気になっている課題にリーチすることが少しずつできているので、やりたいことをこれからも実現していきたいです。

今の会社は新卒で入っている会社なので、退職することが私にとっての最大の挑戦かも(笑)。以前、『我慢は自分への虐待』という言葉を聞いて、やりたいことを我慢してお金のために働くのはもったいないことなんだなと感じました。そう思った時が辞め時ですね。ぬるま湯から出てみようかと。大変でもワクワクした毎日を過ごしたいんです。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

人はいつでも変われます。自分の好きなことや嫌いだという気持ちを大事にして欲しいです。

また、人と比較すると優劣が出て、能力がないと思いがちですが、意外と今持っているものが武器になることがあるんです。自分が持っている武器を実感してもらい、好きなことに挑戦してもらいたいです。自分が敷いたレールで生きた方が楽しいですよ!

 

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
1人目を生むタイミングで中央区に引っ越して5年。保育園も会社も中央区なので生活圏ほぼ全てが中央区。

「柳屋」のたい焼きを頬張る息子さん(当時4歳)

この街の好きなところ
アクセスがいいところと緑が多いところ!マンションのそばに隅田川が流れていて、土手沿いに夕日、という時が止まったような景色を見ることができる。歴史や伝統があるところも好き。例えば日本橋小学校は、西郷隆盛の屋敷跡!また下町らしい地域との繋がりも残っていて、子どもがお祭りに参加できる。
おすすめのスポット
川沿いの景色なら佃の大川端、隅田川テラス、新川公園がオススメ。日本橋は昔ながらの和菓子屋さんもあって古き良き日本がそこにある。人形町の甘酒横丁にあるたい焼き屋さん「柳屋」は、1匹ずつ丁寧に焼いていて、皮がパリッ、あんこはほどほどですごく美味しい!息子はペロリと2つ平らげちゃう(笑)。
 
わたしの子育て

わたしの家族
5歳(男)、1歳11ヶ月(女)、夫、私。
息子は恐竜にどハマり中。恐竜ごっこは大変なので夫にお任せしたい(笑)。

おにぎりやお菓子をもって近場でピクニック

子育てで大切にしていること
子どもの好きな気持ちや考え、大事にしたいものを、丁寧に、大事にしてあげたい。
『13歳からのアート思考』という本の中で、子どもが描いた絵に対して「何を描いたの?」と親は親の目線で聞くが、子どもにとっては例えばクレヨンを滑らせたのが楽しいからたまたま線が描けただけ。というくだりがありました。子どもが何かをしたときに親の目線を押し付けたくない。否定をせずやりたいことに集中させてあげたい。とは言うものの、よく叱っていますが…(笑)。
子育て生活での失敗談
かつて息子のトイレトレーニングに時間がかかって怒ってしまったこと。今思うと彼なりにこだわりがあったのだなと気付いた。もっと大らかな気持ちで接してあげられれば良かった。

■ 経歴 ■ 田口 愛実(たぐち あいみ)さん
プロコーチ(CPCC®(Certified Professional Co-Active Coach))
リクルートにて、求人情報誌の業務設計に携わりながら、2人目の育休中に培ったコーチングを副業として、クライアントの「自分らしく人生を楽しむ」お手伝いをしている。
座右の銘は「人生はクエストだ!」

―編集後記―

 会社員として働きながら、コーチングの複業というWワークを両立する2児の母の田口さん。過去のご自身のこともあっけらかんと語る姿には、等身大の自分を受け入れて好きなことを仕事にする、という自信が漲っていました。インタビューしている私がいつの間にか相談しちゃうくらい(笑)、どんなことでも大らかに包み込んでくれる笑顔の優しい女性です。「自分の気持ちや既に持っている武器を大事に」やりたいと思ったときがやり時ですね。