インタビュー|「私がやりたいこと」をやると決めたら自由に 〜 谷口 章子さん

自分と家族のために「私がやりたいこと」をやる。
そう決めたら、自由になれた

株式会社Bright One代表/谷口章子さん

章子さんは、長女(6歳3ヶ月)、長男(3歳8ヶ月)のママ。
経営者として働きながら、スタートアップの業務支援に複数携わっています。会社員時代にはやりたいことが見つからないという悩みもあったそうです。人生の転機にどう向き合ったのか、どんな変化があったのか、女性のキャリアに対するお考えを伺いました。

「ママの笑っている顔が見たい」と言われ、ハッとした

― あなたにとっての人生の転機は?

新卒で入って長く働いた会社を辞めて、起業をしたことです。会社員時代の仕事は好きでしたが、「自分にはwillがない」ことが弱みだと感じていました。営業の時は、目の前のお客様のために「これをしたい」はありましたが、企画に異動になって、より将来の自分やキャリアに見通しが立たなかったんです。

そんな中、当時2歳の娘に「笑っているママが好き」と言われ、ハッとしました。子どもが産まれてから、娘に「ママはこんな仕事をやっているんだよ」と誇りをもって言いたいという気持ちがあったのに当時は言えていなかった。あの頃、保育園の登園が5分遅れるからと子供をよく急かしていたのですが、そんな自分も嫌だった。会社の5分には大きな意味はないのに。

それからずっと自分が働く意味って何なんだろう…と悩んでいました。そんな時に、ある方に「人生、一度きりだよ」と言われ、いままでなんども聞いた言葉のはずなのに、なぜかとても刺りました!(笑)ライフイベントの変化で女性がキャリアをあきらめることが多いし、女性だけが悩むのはなぜなんだろう。もしかしたら「働き方の選択肢が少ない」が故の問題なのかな、と感じるように。

子どもの年齢にあわせて生活は変わるもの、だったら柔軟に働くことができたらいいなと強く思いました。自分の働き方を変えたい、一度きりの人生をあきらめたくない、女性の支援をしたい、そんな想いで会社を辞めました。9月に辞めたのですが、11月に第二子を出産。育休を取ったら復帰しなくてはいけないので、もう待てませんでした!

かつても主人に「会社を辞める」と、こぼすことがあったのですが、「今と年収が変わらないならいいよ」と言われていました。ただその時には、「いいんじゃない」と一言。ああ、本気が伝わったんだな。彼は冗談をいうことで、きっと私の本気度を測っていたんです。今まではやりたいことがないことがバレていたのだと……。あの時あっさりと受け入れてくれた主人には、感謝でいっぱいです。
その後、先述の「人生一度きり」と言ってくれた方と一緒に、会社を設立しました。

コワーキングに最後に納品されたセンターテーブルを、娘と一緒に組み立てた時。いまでは「大きくなったら事務所を作る!」と意気込んでいます。(長女当時4歳)

自分の大切にしたい軸を、自分と相談する

― その後、どんなことが変わりましたか?

辞めてから、もやもやすることもありましたが、学んだコーチングを活かして自問自答をしていました。その時、「自分のために、自分のやりたいことをやる」というスローガンを作ったことがとてもよかったんです。今までは人に気を遣ったり、意見を合わせるような性質がありましたが、自分のために生きる。それはつまり、自分が笑っていることが家族のためにもなる、と気づくことができました。

日常生活で変わったことは……例えば、それまで冷凍食品は使いたくなかったのが、家族で笑って食べられることを選択したら、どうでもよくなったこと。あと子どもを預けることにも抵抗があったけれど、夫やベビーシッターに預けて、出かけられるようになりました。土曜日の朝カフェで息抜きをしたり、友人や仕事のつながりなど会いたい人に会うため、飲み会に行ったりもしています。

自分に対する期待値が高いので、決めたことができないとイライラしてしまいます。期待値を下げること、つまりここまではOKという妥協ポイントを意識的に決めておくことが重要だと思います。例えば、平日は片づけないと決めてしまう。しない、と自分で決めたらイライラは軽減します。自分で決める大切さに気付いてからは、解放された感覚があります。あとはやるだけ。運営するコーワーキングスペースの物件を決めたり、トントントンと進んでいきました。

茅場町の女性専用コワーキングスペース

ずっと働いて、新しい挑戦をしていきたい

― これから、やってみたいことはありますか?

仕事では、ママたちが自分らしく働ける、つまり「多くの働き方」をつくっていきたいです。このCo-sodateサイトも、その挑戦の1つです。

また前職が不動産に長く関わっていたこともあって、ママだけの不動産会社もつくりたいと思っています。あとは半分趣味、半分仕事なのですが、状況が落ち着いたら、フィンランドに行きたいです。私は雑貨が大好きなので、世界各国の雑貨を集めて販売するものいいなと思っています。好きなことに囲まれていれたら最高!

改めて私は仕事が好きで、仕事の中に自分らしさをいれていくのが自分のスタイルなんだなと感じています。ずっと働いて、新しい挑戦をしていきたいなと思います。会社員時代の自分の悩みが嘘のように、いまはやりたいことがたくさんありすぎて、どれから着手するか迷うくらいです。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

「ママだからあきらめていること」があれば、それはあきらめないでほしいです。どんなに難しい状況でも、その時に一歩、踏み出せば見えるものがあります。想像もしていない新しい自分に会うこともできます。私がCo-sodateを作ったり、こうしてインタビューを受けるなんて、会社員時代には想像もしていませんでした。立ち止まることは、現状維持。それ以上でも以下でもありません。まずは動くことをおすすめしたいです!

 

わたしと街のつながり

この街とのかかわりは?
2012年より中央区に住んでいます。大手デベロッパーに勤める知人から「子どもが生まれたらタクシーで帰れる距離がいいよ」、とすすめられたのがきっかけで、夫婦ともに東京駅にある会社に勤めていたので、結婚を機にまずは新川、2人目ができてからは、晴海です。

晴海臨海公園は愛犬チャイとのお散歩コース。夜景もきれいで人も少ないお気に入りスポット。

この街の好きなところ
都心にもかかわらず、意外と緑があるところ。時間ができたから、ひとりで銀座に買い物……なんてことも気軽にできちゃう!ONOFF中央区内で満足できる。
おすすめのスポット
隅田川テラスや晴海の臨海公園。芝生があって、人が少なくて、子どもや犬(シュナウザー♡)とのお散歩コースにぴったり。都会の雰囲気を感じさせないけれど、夜景はやっぱり都会!
 
わたしの子育て

わたしの家族
6歳(女)、3歳(男)、夫、私、犬1匹(シュナウザー♀)。
第一子が生まれた頃から、夫が単身赴任で平日はワンオペ。もう当たり前になりすぎて、いたほうが乱れるくらい!
ごはんとか適当、洗濯も3人分なのである意味気楽。
おねえちゃんがちびママで乗り越えている、お手伝いが好きだから助かる。
「なんで女子はこんな働いて、男子はごろごろしてる!」とよく言っています。(笑)

お手伝い大好きな娘がいなければ、うちの家族はもたないと言っても過言ではない。長女に頼りきりです。

子育てで大切にしていること
自分の人生だから、自分で決められる人であってほしい。
自分がレールにのっかっていた感覚があったので、習い事、お洋服など、なるべく親が決めないように、子供の意思を大切にしている。
子育て生活での失敗談
任せすぎて失敗したこと。娘がお弁当作り、冷凍肉を電子レンジで調理していた。
卵焼きも自分でつくるくらい、なんでもできる子だから、大丈夫だと思って任せていた。
食後、テーブルにティッシュに包まれた肉があるのを発見!…生で食べていた模様。温めが甘かったみたい。

 

■ 経歴 ■ 谷口章子(たにぐちあきこ)さん
 2004年リクルート入社。営業8年、その後5年は事業推進、営業推進などの企画職へ。異動当初営業職との違いに戸惑い、一度は退職を考えるも会社員を継続。その後子どもの一言をきっかけに退職を決める。2017年に㈱BrightOneを立ち上げ、2018年10月に茅場町に女性専用コワーキングスペースをオープン。現在複数社の業務支援を行いながら、中央区・江東区に住むママ達と様々な働きかたを実現するための取り組みを行っている。
―編集後記―

 会社を経営しながら、平日ワンオペを飄々とこなす谷口さん。いつも笑顔で、気遣いに溢れ、芯がありつつ自然体でやりたいことにチャレンジしている姿は「しなやかな人」という言葉がぴったりです。「まずは一歩踏みだす。そこから見えるものがある」というご自身の軌跡ともいえる言葉に、私も勇気をいただきました!どんな状況でも、自分次第でいつでもよくなれる気がします。