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インタビュー|子どもの存在が、新たな世界へと導いてくれた。不健康な生活から一変し、ヨガと薬膳のプロフェッショナルへ。〜星 宏美さん

子どもの存在が、新たな世界へと導いてくれた。
不健康な生活から一変し、ヨガと薬膳のプロフェッショナルへ。

ヨガインストラクター・薬膳インストラクター/星 宏美(ほし ひろみ)さん

宏美さんは、中学1年生の娘さんと小学5年生の息子さんのママ。ヨガインストラクター・薬膳インストラクターとして、食と体をテーマにしたレッスンの講師をはじめ、幅広く活動しています。今でこそ心身の健康の大切さを伝える仕事に就いている宏美さんですが、昔は体には全く気を遣わない生活を送っていたとか。人生の転機にどう向き合い、どんな変化があったのか、また今後やりたいことについて伺いました。

 

妊娠を機に、健康への意識が芽生えた

― あなたにとっての人生の転機は?

結婚をして第一子目を妊娠し、健康に意識を向け始めたのが、最大の転機です。

それまでは、不健康で怠惰な生活を送っていました(笑)。アパレル企業で生産管理の仕事をしていたのですが、重い荷物を運んだり遅くまで会議をしたりと、体力が必要な業務も多く、ハードワークな毎日。土日出勤も頻繁にありました。でも洋服が大好きだったからすごく充実していたし、何より大好きなお酒を飲む時間を楽しみに頑張れていました。仕事の終わる時間が遅くても、疲れていても、毎晩飲み歩いていましたね。
今の夫とは当時から付き合っていましたが、結婚や親になることを深く考えない2人だったので、「今が楽しければいいよね」という感じでした。

ただアパレルの仕事が体力的にきつくなってきたこともあり、一度辞めようかと考えていたとき、妊娠が分かったんです。とてもうれしい反面、お酒が飲めない寂しさはありましたが、授乳期を終えてお酒解禁になったときのことを想像しながら、ノンアルコールビールでごまかしていました(笑)。
そんな私でも妊娠すると変わるもので、徐々に“母親としての責任”みたいなものが芽生え始めました。週数が進むに連れて人間らしい体つきになっていく赤ちゃんの姿を妊婦健診で見て、「自分のお腹の中で体が作られているんだ」としみじみと感じていましたね。

その気持ちは、娘の出産後も変わりませんでした。助産師さんから「お母さんの食事が母乳になるんだよ」と言われていましたが、最初は半信半疑。だけど、キムチとか辛い食べ物を食べた直後に授乳をすると、飲んだ瞬間に娘が「あれ?いつもと違うな」というような表情をしたんです。
離乳食が始まると、授乳期以上に肉付きが良くなっていき娘の体はムチムチに。「しっかり食べないと、体は作られないんだ」と実感しました。

自分の健康も気遣うようになり、産後、子連れで行けるピラティスに通いました。周りも赤ちゃん連れのママばかりでとても良かったのですが、子どもが動き出すと、レッスンを思うように受けられなくなり辞めてしまったんです。「もう一度、体を動かせる習い事を始めよう」と調べたところ、出合ったのが「経絡(けいらく)ヨガ」でした。
経絡ヨガとは、東洋医学の考えを取り入れ、気の流れを意識して行うヨガ。始めてみたら、手に取るように目に見えて体調が良くなっていくのが分かり、その素晴らしさにどんどんはまっていきました。インストラクターの先生とは食の話をすることも多く、産後の身体にいい食べ物を一緒に買いに行ったりもしましたね。

その後、娘を英語のプリスクールに通わせ始めたとき、少しでも楽しく食べてほしいとお弁当をキャラ弁にしてみたら、とても喜んでくれて。苦手な食材も食べてくれたり、「次はこんなの作って」とリクエストをくれたりするようになったんです。食に興味を持ち始め、楽しく食事をする娘を見ていたら、一層「自分も健康に気を付けなければ」と思うようになりました。

こんな風にして、少しずつですが、健康を中心に考える生活に変わっていきました。

毎日のプラクティスー続けていると、少しの変化と、色んな気づきがある

困難にも心を乱されなかったのは、心身が整っていたから

― その後、どんなことが変わりましたか?

経絡ヨガを生徒としてずっと続けていたところ、先生から「ティーチャートレーニングがあるから受けてみない?」と声をかけていただきました。当時2人目を出産した後だったので、子どもを母に預けて受けに行くことに。
2日間の講習を終え、インストラクターの資格を取得してみると、経絡ヨガの魅力をより多くの方に知ってもらいたいという気持ちが沸き上がり、知り合いやママ友数人に教え始めたのが、今の仕事の始まりです。
中医学(中国の伝統医学)に興味を持ち始めたきっかけも、経絡ヨガの先生が薬膳を勉強していたから。私はマクロビオティックの資格を持っていたのですが、動物性の食べ物や砂糖を避けなければならず、代替食材の入手が大変で、子どもがいる生活では少しハードルが高かったんです。その点薬膳は、そうしたルールが少なく、身近な食材を使えばいいと知りました。
薬膳についてより知りたくなり、資格の勉強を開始。薬膳といえば生活に馴染みの薄い食べ物が多いイメージだったのですが、勉強を始めてみるとスーパーに並んでいる食材全てが薬膳になると教えられました。
たとえばジャガイモには胃腸の調子を整える作用があるし、セロリやピーマンはイライラを落ち着かせてくれます。そうした勉強を続けていくうちに、「子どもが疲れ気味だから、この食材を使おう」と自然に考えられるようになりました。薬膳は生活から遠いものじゃないと理解していったんです。
中医学にも経絡ヨガにも共通しているのが“気の流れ”。気は、体に必要な血や津液(しんえき/唾液、胃液、涙、汗など)の活動を促進させるもの。不調や疲れを感じたときは、気の通る道が詰まっているからだと私自身実感していました。

もう少し深くヨガを知ろうと始めたのが、正しい呼吸法を行いながら、心と体の調和をさせバランスをとる「ハタヨガ」の勉強。学んでみると、本当に心と体はつながっているんだと身に染みて感じました。ヨガをしてリラックスすると、自分の気持ちもコントロールできるようになったんです。長年悩まされていた肩こりや姿勢の癖からも解放されていきました。

ヨガや薬膳のインストラクターを始めて、家族との関わり方も変化したように思います。わが家は、ピンチもたくさん経験してきました。その一つが、夫の勤めていた会社の倒産。とつぜん職を失い、夫本人が一番大変だろうと、私はあまり口を出さずに見守ることにしました。すると夫は「前からやりたかった」という飲食の仕事に向けて、自ら動き始めたんです。結果、望み通り飲食店を開業することができました。
でもピンチはそれだけでは終わらなくて。コロナ禍に突入してすぐ、忙しくも前向きに働いていた夫が神経の病気に罹(かか)ってしまったんです。医師からは「治らないかもしれない」と言われて、私も不安に駆られましたし、何より子どもたちに大きな心配をかけてしまいました。親の知らないところで泣いていたこともあったみたいで心苦しかった……。
ただ、コロナで一旦仕事がストップしたことで、夫の生活リズムは好転しました。昼間に太陽の光を浴びて、子どもと遊ぶ。そんな毎日を送っていたら、何もしていないのに、驚異的に回復をしていったんです。これにはみんながビックリでしたね。

こうした状況を経験して感じたのは、家族の幸せの形はそれぞれ違うということ。住んでいる地域はファミリー世帯がとても多く、昔の私なら、幸せそうに見える家族と自分の家庭を比べていたと思います。でもお金があるとかいい家に住んでいるとかは、幸せであるかどうかには関係ない。私たちの気持ちがどういう状態にあるかが、とても大事なんだと気付いたんです。みんなが元気で笑っていて、大切な人が隣にいてくれたらそれでいい。辛い状況でもこうしたメンタルでいられたのは、ヨガや中医学によって心と体が整っており、豊かな気持ちを保てていたからだと思います。
もしヨガに出合っていなければ薬膳や中医学にも興味を持っていないですし、子どもが生まれていなければヨガを始めることもなかった。そう振り返ると、娘を妊娠したときにいろんなことが変わり始めたんだと思いますね。

ヨガレッスン中の風景

母親になっても、自分のやりたいことやありたい姿に正直でいたい

― これから、やってみたいことはありますか?

今後は、よりパーソナルな活動もしていきたいと考えています。これまでは1対グループでヨガのレッスンなどを行うことが多かったのですが、もっと一人ひとりに寄り添う人間でありたい。こんな世の中ですから、苦しんでいる人や悩んでいる人はたくさんいらっしゃいます。それらを解放する選択肢の1つに、私が手がけている活動があればうれしいですね。
その方法が必ずしもヨガや薬膳である必要はないかもしれません。何気ないおしゃべりに助けられることもあると思うんです。
そうした想いを形にしたのが、「little star 心と体を元気にするおしゃべりスペース」。体を動かし、美味しく健康的な食を楽しみ、悩みを共有する。すると自然に豊かな心が作られていくはず。そんな気持ちで、皆さんと接していきたいと思います。

― ママたちへのメッセージをお願いします。

以前幼なじみに、「母親が楽しい顔をしていると子どもに伝わる」と言われたことがありますが、本当にその通りだと思います。活き活きとするお母さんの姿を、子どもはよく見ていますよね。

だから「母親ならこれをしないと」とか「母親はこれをしてはいけない」とルールを決める必要はありません。自分の直感を信じて、今しかできないことに向き合っていくことが大切。

誰もが、親になるという責任を重く感じて不安になります。私もそうでした。でも誰もが「初めての経験」に不安を抱きながら、少しずつ母親になっていけると思います。たくさんの人と関わりながら、助けてもらいながら、歩んでいきましょう。40代はとにかく楽しいです!

 

わたしと街のつながり
中央区とのかかわりは?

中央区在住。中央区のヨガスタジオや児童館で、地域の方に向けてヨガや薬膳のレッスンを開催しています。

よく足を運ぶ晴海臨海公園の運河から

この街の好きなところ
どの公園に行っても緑が多いところ。浜町公園、黎明橋(れいめいばし)公園、晴海臨海公園など、都会のど真ん中ですが、自然と触れ合えるスポットが意外とたくさんあります。
おすすめのスポット
隅田川テラス。ここは川というよりもはや海の広大さがあって気に入っています。
何も考えず、ボーっとしていられる場所です。
 
わたしの子育て
わたしの家族

中学1年生の娘、小学5年生の息子、夫。 ※2022年7月現在
子どもは私にとっての同志です。わが家の子どもたちは男女ですが今のところ仲良し。私が一人っ子だったので、見ていてうらやましいです。毎日安心した気持ちで過ごせるのは、2人の子どもたちがいるからだと思ってます。

豊洲にて家族での1枚

子育てで大切にしていること
自分の子どもであっても、自分とは違う存在であることを必ず認識するようにしています。「大人だから」「子どもだから」と決めつけずに、今思っている素直な気持ちは正直に子どもに伝えています。そして自分が悪いと反省したら、「ごめんね」を言える母でいようと誓っています。
子育て生活での失敗談
子育てに正しい形はないと思っているので、何があっても失敗ではないです! 姉弟の持ち物を逆に持たせてしまうことなど、小さな間違いはありますが(笑)。母親として、子どもに成長させてもらっている毎日です。

 

■ 経歴 ■ 星 宏美(ほし ひろみ)さん
 2児の母。出産後、中医学や薬膳の魅力にひかれ、薬膳を学び始める。同時期、心と体全体のつながりに重要性を感じ、経絡ヨガをスタートし日常に取り入れるようになる。その後、経絡ヨガのインストラクター資格を取得。
現在はヨガインストラクターとして「little star 心と体を元気にするおしゃべりスペース」を運営。スポーツクラブ、ヨガスタジオ、オンラインでレッスンを行う他、薬膳インストラクターとしてカフェメニュー監修や薬膳講座も手がける。
くらしと微生物のウェルネス・マガジン&ダイアログ「KOSMOST(こすもすと)」で、心と体を元気にするコラムを連載中。

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―編集後記―

ゆったりと穏やかな雰囲気をまとう宏美さん。話していると自然と気持ちがリラックスしていきました。初対面にもかかわらず、スッと心に寄り添ってくれる優しさを感じる女性です。薬膳の知識が浅い私が質問を投げかけると、「どんな食材も薬膳になるんですよ」と笑顔で教えてくださったのが印象的。宏美さんの言葉一つひとつが、「気負わなくていいんだな」と思わせてくれました

 

2022年7月取材

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